東京23区「高齢者に優しいまち」最新ランキング

徹底データ分析!
池田 利道 プロフィール

生きがい再発見という「逆転打」

生きがいを持つことが老化防止のキーワードであることは、あらためて論ずるまでもない。なかでも大切なのは、積極的に社会に参加し、多くの世代の人たちとの交流を深めることだ。難しそうだが実は簡単で、働けば社会に参加でき、交流も深まる。

【図表2】東京23区の生きがい充実度ランキング
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「65歳以上の就業率」が一番高いのは千代田区。以下、台東区、中央区、港区、荒川区と続く。千代田区や港区が上位に来るのは、所得水準の高い会社の役員や医師、弁護士などが多く住むから。一方、台東、荒川の両区は東京有数の自営業者の集積地で、彼らは基本的に定年がなく自分の意志で働き続けることができるから、高齢になっても就業率が高いわけだ。

それだけのことかと言うと、実はそうではない。役員ではない社員(正社員)として働き続けている高齢者も、千代田区、台東区、中央区がトップ3に並ぶ。さらに、企業などで働いていない高齢者に対する「シルバー人材センター」登録会員数の割合は、千代田区、港区、荒川区の順というデータもある。

そして、上記いずれの指標も低ランクに甘んじているのは、練馬区、世田谷区、中野区、杉並区、板橋区など。定年があろうがなかろうが、高齢者が積極的に働き続けようとする区と、「余生」に引退してしまう区がきれいに分かれていることがわかる。

どうしてこうした差が生じるのだろうか? いま言える確かなことは、人間は環境に大きく左右されるということだ。まち全体が働き続けようとする環境にあるか、リタイアしようとする環境にあるか。その差がこうした数字になって現われていると言うほかない。

ただ、65歳を過ぎて給料を得て働くことを唯一の美徳、唯一の社会貢献とするわけにもいかない。「もう働くのは卒業したい」と考える人もいるだろうし、もちろんそれは個人の自由だ。そんな人たちにとって、老人クラブは一つの有効な社会参加ツールとなる。趣味の集まりだけでなく、ボランティア等を通じた社会参加や世代間交流の場ともなる。

その老人クラブの充実度は、(タワマンが集中するなど富裕層も多い都心ながら)下町的特性を強く持つ中央区も加えて、下町圧勝の感がある。逆に下位には、中央区以外の都心部と西部山の手の住宅区が並んでいる。千代田区と港区は働き続けようとする意欲が高いからいいとして、問題は西部山の手地区だ。働くことも交流することもネガティブになった先に、何が待っているのだろうか

 

生活難民化を避けるために

生活していく上での便利さを判断する指標としては、八百屋(果物屋を含む)・魚屋・肉屋といった生鮮食料品店、コンビニ、ドラッグストア、スーパー、低料金でかつ停留所の数が多いコミュニティバスを取り上げた。

夜間人口だけでなく、昼間人口にも対応するコンビニとドラッグストアは、やはり中心部立地の傾向が強い。コミュニティバスも中心部で充実している。昔ながらの生鮮食料品店は、下町でしっかりとその基盤が受け継がれており、スーパーは郊外区での充実が目立つ。

【図表3】東京23区の生活便利性ランキング
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何を重視するのかで個々の評価は分かれるが、東京で暮らす限りどこに住もうと生活の利便性は確保されていると言えそうだ。ただし、高齢者にとっての利便性に限定すると、話は変わってくる。

都心・副都心にはコンビニがおよそ300メートル四方に1店、下町地区では生鮮食料品店がおよそ350メートル四方に1店の割合で存在するが、スーパーはトップクラスの区でもおよそ1キロ四方に1店しかない。若いころだったら、1キロくらい自転車でひとっ走りだったろうが、年を取るとそうはいかなくなる。とくに買い物帰りはつらい。

そこを補ってくれるのがコミュニティバスなのだが、郊外区ではコミュニティバスの充実度が低いという問題が追い打ちをかける。高齢になってからのまち選びは、まだ元気ないまを基準にするのではなく、5年後、10年後を見据えて考えていくことが大切である。