田舎の実家 「相続」すべきか「放棄」すべきかの見分け方

「とりあえず放置」が一番ダメだった
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自治体に寄付もできない

自治体が、その地域の空き家や古くなった物件の売却について相談会を開催していることもある。こうした様々な方法を用いて、確認を怠らないことが肝要だ。

その家が売れそうかどうか、判断するための基準もある。

「家が立地しているのが、観光客が訪れる場所であれば、民泊に利用できる可能性もあります」(平野氏)

現在では、空き家利用を促進するために、リニューアル、リフォームの相談に乗ってくれる業者もある。築年数が浅く、低コストできれいになる住宅ならば、売りに出せるだろう。

しかし、どうやっても売れない物件もなかにはある。そうした場合、次に考えられるのは自治体への寄付だが、これはハードルが高い。

「よほど利便性が高く、何かに利用できる土地であれば別ですが、まずもって自治体は寄付を受け入れてくれません」(平野氏)

最近では、ついに有償で土地を引き取る業者も現れ始めたが……。

「20万円とか30万円の手数料を取って、不要な土地を引き取ってくれる業者です。

しかしこれも長続きするかどうかはわかりません。というのも、やっていることが法的に相当グレーだからです。

引き取った土地を、実体のない法人名義にして、倒産させて消えてしまったり、身よりのない高齢者の名義にして誰も相続できないようにしたり……。今後、国の規制が入る可能性もあります」(不動産業関係者)

 

八方手を尽くしても売れそうにない――そこまで追い詰められた人が考えるべきは「相続放棄」である。

相続放棄をすべきか否かは何を基準に判断すればいいのか。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が解説する。

「まず、相続放棄とは、相続する資産の『全体』を放棄すること。一部だけを相続するというムシのいい話は通用しませんので注意してください。全体の資産を広い視点から見ることが大切です。

そのうえで、不動産と金融資産のバランスを見極めましょう。相続する金融資産が、不動産の維持、管理、処分コストを上回っているようならば相続をすべき、下回っていれば相続放棄を考えたほうがいい」

冒頭に登場した黒木さんの例を見ても分かる通り、不動産の管理、維持にはコストがかかる。列挙すれば、

・固定資産税
・草刈りや住宅のメンテナンスなど維持コスト
・家屋の解体費
・マンションの場合は管理費や修繕積立金

などがある。また、'15年には空き家対策特別措置法が施行され、危険な空き家からは固定資産税の優遇措置が外されることになった。深野氏が続ける。

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「相続すべきか、放棄すべきか、ひとつの指標となるのは、相続する資産全体に占める不動産の割合が2割以下か否かということ。2割以下なら、相続をしてもいい。

2割を超えている場合は、不動産の維持コストが金融資産を食いつぶす可能性もあり、相続放棄を検討したほうがいい。

また、相続する金融資産が500万円以上あるかどうかも指標となる。500万円に満たない場合は、相続放棄を含めて検討したほうがいいでしょう。家屋の解体や固定資産税で、500万円程度なら平気で飛んでいきます」

判断には、不動産の立地も重要だ。

「実家から現住所までの距離、移動にかかる時間もよく考えたほうがいい。いま住んでいる場所から遠いとなると、交通費もかかり、草の手入れなども業者に任せざるを得ません」(深野氏)