田舎の実家 「相続」すべきか「放棄」すべきかの見分け方

「とりあえず放置」が一番ダメだった
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「負」動産から自由になる

ここで注意が必要なのは、相続放棄をしたからといって「負動産の重圧」から簡単に解放されるわけではないということだ。その後もいくつかの手続きをしなければ、「売れない土地」からは完全に自由にはなれない。

『限界マンション』などの著作がある富士通総研の米山秀隆氏が言う。

「相続放棄が行われた後も、次に管理する人が決まるまで『管理責任』は相続人にあるとされます。

家が倒壊するなどして損害が生じた場合、まだ判例はありませんが、その責任は相続人が負わなければならない可能性がある。現状ではそうした責任があることが周知されていないのですが」

相続放棄したうえで、さらに管理責任からも逃れたい場合には、「相続財産管理人(以下、管理人)」の選任を申し立てる必要がある。

家庭裁判所が選任し、弁護士などが就くことが多い役割で、管理人は放棄された財産のうち売れるものは売却処分したうえで、土地の管理などの任を担っていくことになる。ここで相続人は初めて管理の責任から自由になれるのだ。

この管理人の選任申し立てには、約100万円の「予納金」が必要となる。予納金は、相続放棄をしていても、相続するはずだった財産のなかに現預貯金があれば、そこから支払うことができるので、うまく活用したい。

 

いまや、不動産の大部分は「重荷」だ。土地と共に多くの現金が遺されていても、相続放棄するケースがある。前出の不動産業関係者が言う。

「父親が1000万円の預金を残していたけれど、九州にほとんど売れなさそうな畑や家があり、兄弟2人で相続放棄した例があります。1000万円という額を放棄しても構わないと思わせるくらい、条件の悪い不動産を相続するのはリスクが高いのです。

相続放棄した男性は、管理人の選任申し立ても行って管理責任から自由になり、本当にスッキリした顔をしていました」

「相続か放棄か」、いまのところ、田舎に限定された問題のように思われている。しかし、これから何年かすれば、都市部でも不動産価格が下落、首都圏の住人にとっても他人事ではなくなる可能性が高い。

そのときに「相続」か「放棄」かを選べるよう、いまから準備をしておいて損はない。

「週刊現代」2018年1月20日号より