シリコンバレーで学んだ不動産投資の本質
今、テレビや雑誌等のメディアで話題の不動産投資。中堅どころのビジネスパーソンだけでなく、20代の若い世代や、主婦層にまで広がっている。
しかし、十数年前、私が不動産投資を始めた頃は、地主や資産家が資産運用や相続対策として行なうのが主で、今のように書籍やセミナーなどで手軽に情報を得られる時代ではなかった。
当時、私はシリコンバレーでも有数の企業で、ビジネスデベロップメント(新規ビジネス開発)、M&Aの交渉や契約、デューデリジェンス(企業の資産価値評価)、ライセンス交渉および契約、戦略的提携等の業務を行なっていた。

守秘義務があるので詳細を記すことができないのが残念だが、自社に多大な利益をもたらす提携事業やM&Aを手がけてきた。
しかし、いくら実績を出して給与が上がっても、比例して上昇する税金の高さには辟易していた。また、ポジションが上がっても自分が企業のオーナーにならない限り、上には上がいるということに気がついた時期でもあった。
たとえ、外資系企業の日本代表まで上り詰めても、所詮は雇われである。いつまでたってもオーナーにはなれないのだ。
当時、同じように感じていた同僚たちとの話題に上がっていたのが、「不動産投資」だ。なぜ、「不動産投資」だったのか?
それは、収益を生んでいる不動産を購入するということは、すでに毎月お金を生み出している、うまく回っているビジネスのオーナーになるということだからだ。
しかも、この事業は収益を上げるだけでなく、資産としてバランスシート上に計上される。つまり、不動産取得に使ったお金は減らずに資産という価値に変わる。もちろん、毎月入ってくる家賃収入も現金資産として合わせて増えていく。
将来的になれるかどうかわからない企業のオーナーを目指すより、不動産のオーナーになるほうが魅力的だ。
そう思った私は、シリコンバレーで学んだことを不動産投資に応用し、メインである一棟マンションを中心に区分不動産を複数所有した。いまや年間収入は1億円を突破し、経済的自由を獲得することができたのだ。
M&Aと不動産投資の共通点
シリコンバレーでは企業のM&Aが頻繁に行なわれる。
起業家たちは、ビジネスを立ち上げ軌道に乗せて売却するという「出口戦略」を考えてから、起業することが多い。買収する側も、すでに評価されている技術やビジネスをM&Aするほうが効率的だと考えている。また、資金が豊富な企業があるのに加え、それらの資金提供を行なう機関も多く存在している。
当時、企業のM&Aを手がけていた関係で、不動産投資はM&Aに似ていることに気がついた。ワンルームやマンション一棟を1つの事業や企業と考えれば、それを「買収」するのがまさに不動産投資なのだ。
しかも、その資金は金融機関が喜んで融資してくれるため、自己資金が少なくてもレバレッジを最大限きかせられる。その点もM&Aによく似ている。