トランプ発・世界貿易戦争の被害を減らす「日本だけのウラ技」がある
安倍「お友だち」外交より期待できる中国への制裁は、事実上の「宣戦布告」だ
世界の歴史教科書は将来、中国に対する「通商法301条」の発動について、トランプ米大統領が22日(日本時間23日未明)に発した声明を、事実上の宣戦布告と位置づけるのではないだろうか。
同声明は、貿易戦争が武力戦争へと発展した第二次世界大戦の反省から、自由貿易体制を守る目的で創設された世界貿易機関(WTO)の存在と活動を真っ向から否定し、一方的な制裁を連発することを正当化するものだ。米中間で始まった貿易戦争には、EUやロシア、日本などを巻き込み「世界大戦」になりかねないリスクも潜んでいる。
世界各地で右翼政党が台頭し、保護主義的な動きが強まるなか、「アメリカ・ファースト」を掲げて過激な発言をくり返すトランプ氏の登場は、一昨年行われた大統領選挙の時点ですでに、世界の将来に暗い影を落とすのに十分なできごとだった。
そしていま、11月の中間選挙が視界に入ってきたからだろう。トランプ大統領が打ち出す保護主義的政策はエスカレートしてきている。米東部時間の22日午後、中国への通商法301条の適用方針を表明。その数時間後の23日午前零時には、かねて物議をかもしていた「通商拡大法232条」に基づく外国産の鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置も発動した。

やり玉にあげられた中国は、報復する方針を公表。米中間には、制裁と報復がくり返されかねない緊張が生じた。加えて、EUやロシアも報復の考えを打ち出し、あっという間に火の粉が世界中に降りかかる状況になった。
なぜ、事態はこの時期にエスカレートしたのか。どうすればこれ以上深刻にならずに済むのか。そして、日本はどうふる舞うべきなのか。