センサーの小型化や形状の多様化が進んだことで、人のカラダに常時装着した状態で、さまざまな情報を取得できるウェアラブルセンサーが実用化されはじめている。
メガネ、作業着、刺繍などバラエティに富む「着るIoT」の最前線を、Organnova代表/WirelessWire News編集委員の板垣朝子さんが解説。

測れるものがどんどん増えている

ウェアラブルデバイスは大きく分けて、外部からの情報を入手するためのデバイスと、身に着けた人の情報を収集するためのデバイスに分けられる。

前者の代表的な例が、メガネ型で、ヒトが実際に見ている光景に情報を重ねて表示できる、スマートグラス。

スマートグラスの例(セイコーエプソン株式会社「MOVERIO BT-300」)

後者の代表的な例が、腕時計型で、歩数や消費カロリーを自動的に記録できる、フィットネストラッカーだ。

フィットネストラッカーの使用イメージ(Fitbit「Alta HR」)

AppleWatchなどのスマートウォッチは、両方の機能を持つ。

今回取り上げる「着るIoT」は、主に後者の「身に着けた人の情報を収集する」デバイスを活用したものだ。

デバイスを身に着けることの大きなメリットは、「いつでもどこでも測れるようになる」こと。人のカラダにセンサーを密着させることで、さまざまな情報が取得できる。

さらに、これらの測定値をスマートフォンアプリで確認したり、クラウドに保存することで継続的に記録し、分析して、さまざまなことを知り役立てることができる。

「姿勢」を測る

「着るIoT」で測定できるものとしてまず挙げられるのが、歩数に代表される「活動量」だ。

昔からある歩数計は、活動量計(活動量を測定するデバイス)の原型だといえるだろう。活動量計が歩数を数えるのは、歩行の上下運動に伴い発生する加速度を測定している。

最近の活動量計では、加速度によって、歩いているのか走っているのかを判定したり、運動強度を判定して消費カロリーを計算する機能があったりもする。スマートフォンの活動量計アプリも原理は同じで、スマートフォンの加速度センサーを利用している。

活動量を測定する加速度センサーと、回転や向きの変化を検知するジャイロセンサーを応用して、身体の動きを測るデバイスも登場している。

メガネ型のJINS MEMEは、見た目はまったく普通のメガネ。三軸加速度センサー+三軸ジャイロセンサーで、身体の動きを測定できる。

株式会社ジンズ「JINS MEME」

アプリと組み合わせることで、ランニングフォームのブレを修正したり、体幹トレーニング中の姿勢から効果を客観的な数値で評価することが可能だ。

株式会社ジンズのアプリ「JINS MEME TAIKAN」。トレーニング中の姿勢を測定する。