「動き」を測る
帝人フロンティアは関西大学と共同で、人の動作をセンシングする新しい技術として、刺繍を利用して任意の場所の動きを測定できる「圧電刺繍(e-stitch)」を開発した。
2017年に開発した、組紐の技術を用いて1本の紐で「伸び縮み」「曲げ伸ばし」「ねじり」といった動きのセンシングができる「圧電組紐」を活用し、一定の刺繍模様をパターン化することで、使用する生地や刺繍する位置によらず簡単にセンシングできる。

関節の曲げ伸ばしなどもその部分に刺繍をすれば測定できる。関節の可動域の測定により、リハビリ効果の可視化や、運動時の動きを可視化してスポーツの上達につなげるなどの応用ができそうだ。
2018年1月のウェアラブルエキスポでは、ペットの見守りウェアへの応用事例が展示されていた。
「サイズ」を測る
2017年末に発表されて大きな話題をさらったのが、ファッション通販大手のZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが発表した「ZOZOSUIT」。着るだけで瞬時に全身が採寸できるボディスーツだ。ニュージーランドのソフトセンサー開発企業 「StretchSense Limited.」と共同開発した。
予約が殺到し過ぎて生産が追い付かない上、精度アップのための改良作業でさらに発送開始が遅れていたそうで、「予約したのにまだ届かない」という人も多いのではないだろうか(筆者もその1人だ)。

ZOZOSUITの発表と同時に、プライベートブランド「ZOZO」も発表。ZOZOSUITで採寸したサイズに合わせて身体に合う服を届けるという。
アパレルのインターネット通販で大きな課題となるのが「試着ができない」ということだ。サイズ表記はあっても、「本当に自分のサイズに合うのか」が不安で買うのをためらう人は多い。サイズの問題が解消されることで、服が買いやすくなることは間違いない。
スタートトゥデイにとってZOZOSUITは、「体型」のビッグデータ入手のためのセンサーとなる。地域、年齢、性別の体型データの分布や、「どのような体型の人がどんな服を買うのか」がデータとして蓄積されることで、商品企画の大きな武器になるだろう。