自身もハローワークに約3年間、非常勤職員として勤務経験があり、日本で唯一の「ハローワーク求人専門社労士」として顧問先企業や士業・コンサルタントにも採用支援のノウハウを提供している五十川(いかがわ)将史氏が、欲しい人材を引き寄せる「求人票」作成のテクニックについて語る。
ハローワークは採用の「ブルー・オーシャン」
「ハローワーク」とは、主に職業紹介事業を行っている国の機関で、正式名称は「公共職業安定所」。「職安(しょくあん)」や「ハロワ」と呼ばれることもある。全国に544所(本所436所、出張所95所、分室13室)あり、1日の利用者数17万人ともいわれる。
2016年度にハローワークで新たに求職の申込をした人数は518万9千人、ハローワークの紹介で就職が決まった方の人数は162万7千人となっており、巨大な国営の職業紹介事業所である。

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ちなみに、日本最大級の登録者データベースを持つ転職求人サイト「リクナビNEXT」の会員数は701万人。
ハローワークでの求職の申込は実際にハローワークに足を運ぶ必要があるのに対してリクナビNEXTはインターネット上で登録ができることや、リクナビNEXTの会員数はサービス開始(2001年)からの累計会員数ということもあり一概に比較はできない。
1年間の就職者数の約2割が、ハローワークからの紹介であったとの厚生労働省「雇用動向調査」の結果もある。
企業がハローワーク用に作成する求人票を見直すことは、今までほとんどの企業が注目してこなかった「ブルー・オーシャン(競争のない未開拓市場)」ともいうべきこの2割。求職者数518万人の方にフォーカスをした取組みを行うことといえる。
じつは気軽に利用できる
ハローワークで求人募集をする場合、まず事業所登録をする必要がある。
会社もしくは事業所の住所を管轄するハローワークで、事業所登録シート、事業所地図登録シート、求人申込書の3枚を受け取り、会社が作成する。

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ハローワークの職員やプロのライターが作成するわけではなく、それぞれの会社で作成することがポイント。求人票作成スキルがそのままハローワークにおける採用の成否にもつながりかねない。
ただ、多くの方が意外に思われるが、ハローワークでは、配布される「求人者サービスのご案内」や「求人申込書の書き方」をはじめ、職種別の記載例なども書かれた「応募したくなる求人へ」や福祉・介護分野に特化した「福祉・介護分野の求人票を見直してみませんか?」など、実に様々なパンフレットが用意されており、各項目の説明や記入例なども豊富に記載されている。
初めての方でもこれらを見ながらひと通り作成することができるようになっており、ハローワークの窓口にておいても不明な点などは教えてもらうことができることから、遠慮なく気軽にハローワークの窓口にアドバイスを求めてほしい。
次ページからは、私が「ハローワーク求人専門社労士」として積んだ経験をもとに、欲しい人材を採用するために重要な4つのポイントに絞って、ハローワークの求人票の書き方や活用法をご紹介する。