アメリカが経済面では日本を「同盟国」とは見ていない現実を直視せよ
そこから、どう生き残るかを探るべき先週の火曜、水曜の両日に開催された安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談で、米国が仕掛ける貿易戦争においては、安全保障と違い、アメリカは日本を同盟国とはみていないということがはっきりした。
折しも米中貿易戦争が激化して世界中が巻き込まれかねないリスクが高まる中で、日本はどう生き残りを図るべきだろうか?
日米間の溝は隠しようがない
親密さを演出するための3度目のゴルフを交えた会談を終えて、安倍、トランプ両首脳が臨んだ記者会見で、はからずも、両国の間に経済・通商問題で深刻なミゾが生じていることが浮き彫りになった。
先月、米国が「安全保障上の懸念がある」として通商拡大法第232条を適用、鉄鋼やアルミに輸入制限を発動して高い輸入関税を科したのを憂慮して、日本が「同盟国である」ことを理由に日本製品の適用除外を求めたにもかかわらず、アメリカが一蹴したからだ。
しかも、安倍首相が米国のTPP(環太平洋経済連携協定)への復帰が「日米両国にとって最善と考えている」と述べると、トランプ大統領が間髪を入れず「私は2国間協議が良い」と異を唱える場面もあった。
今秋に控える米連邦議会の中間選挙に向けて共和党の支持基盤を固めたい、そのために一昨年の大統領選時のような「アメリカ・ファースト」路線に回帰せざるを得ないトランプ大統領の立場は明らかで、通商・貿易問題に横たわる日米間のミゾの深さは、もはや覆い隠しようのないものなっている。

客観的に見て、今回の日米首脳会談は、朝鮮半島の非核化と拉致被害者の帰国問題で日米の強固な協調路線を確認するという成果をあげた。しかし、貿易・通商問題は対立ばかりが目立つ結果となった、安全保障と違い、経済外交はまったくの失敗と言わざるを得ないだろう。
折しも、世界では、日本時間の先月23日未明、アメリカが知的財産権の侵害を理由に、中国に対して通商法301条を適用、1300品目、金額にして600億ドル分に25%の高関税をかける措置を決めたことが引き金になって、米中が報復合戦に発展。
中国が豚肉などを対象に総額で同程度の規模の関税を上乗せする対抗措置をとったのに対し、アメリカが再びその2倍の金額を対象にした報復を発表、中国も再度応じると宣言し、両国は貿易戦争の深みにはまり込みつつある。