東大生チームに芸能人チームが挑む『東大王』は家族で楽しめるクイズ番組。東大王4人の知識量に視聴者は圧倒される。彼らはなぜ真剣にクイズに取り組むのか。将来、その知識をどう生かすのか。
孫正義が認めた異才
「世界遺産の名称を答えなさい」
すると丸い地球の衛星写真が画面に映し出された。そしてわずかにズームアップした瞬間、早押しボタン音が鳴る。
「モヘンジョダロ!」
東大生はいとも簡単に正答を導き、その理由を事もなげな表情でこう答えた。
「領域の中心にあるのが、パキスタンの辺りだったので」
視聴者はただただ驚くしかない――。
日曜夜に放送されているクイズ番組『東大王』(TBS系)が人気を集めている。その理由は、番組に登場する東大生・東大大学院生の圧倒的な知脳にある。
彼らは「チリからスタートし、陸続きで国境が接している国を答えよ」という問題を、接する国がなくなるカナダまで答え続ける。
あるいは「天蚕糸」の読み方(てぐす)や「『逃げるは恥だが役に立つ』は、どこの国のことわざ?」(ハンガリー)などの超難問もあっさりクリアしていく。
現在、「東大王」としてレギュラー出演している4人のキャラクターも個性的だ。あらためて紹介しよう。
幅広いジャンルの情報を網羅する「東大最強の知識王」伊沢拓司は開成高校出身。高校時代には『高校生クイズ』(日本テレビ系)で2連覇。東大経済学部に入学し、いまは東大農学部大学院2年生である。
「IQ165の天才」と番組で呼ばれる鶴崎修功は、その「ひらめき力」が群を抜いている。小学校時代は算数オリンピック、高校時代は「科学の甲子園」で全国大会に出場した。父親は生物学者。
地元の名門・鳥取西高校を卒業後、東大理学部数学科を経て、現在は同大大学院1年生である。
「スタンフォードが認めた才媛」鈴木光は紅一点。ネット上では「美しすぎる」と話題になっている。筑波大学附属高校出身。帰国子女でないにもかかわらず、小学2年生で英検2級、中学3年生で英検1級に合格を果たすなど語学が堪能。
高校時代には米・スタンフォード大学の通信教育プログラム「Stanford e-Japan」を受講して、優秀賞に選ばれている。彼女は東大法学部に推薦合格して、現在は2年生(文科一類)だ。
4人のなかでも、その頭脳明晰さで人気を集めているのが、「医学部のプリンス」水上颯である。彼もまた開成高校出身で、『高校生クイズ』にて優勝した経験を持つ。
両親はともに医師。高校2年生までクイズの研究に明け暮れていたが、3年生から受験に集中。日本一の難関、東大理三に現役合格し、現在は医学部5年生である。
この水上に、ソフトバンググループ会長の孫正義氏も注目。水上が大学1年生のとき、孫から「会いたい」とアプローチがあり、ソフトバンクの社長室で面会した。
孫氏が設立した孫正義育英財団が支援する8歳から26歳までの異才96人にも、水上は選ばれている。
4人が所属する東大クイズ研究会のOBで、クイズ作家として活躍している田中健一氏が言う。
「東大王って、こんなわかりやすい肩書はないですよ。視聴者は東大生の解答力に驚いているでしょうし、彼らが答えられない問題がわかったという喜びを見出している人たちもいるでしょう。
4人に共通しているのはアウトプットの速さです。知識力がある理系の水上くん、文系の伊沢くんに加えて、ひらめきの鶴崎くんがいる。そこから漏れた問題でも鈴木さんが答える。どんな問題でも答えられる最強のカルテットになっています」