日本の「究極の衰退」を表す、高齢者と出生数に関する恐ろしい数字
高齢者が街に溢れて起きること出生率は上がっても出生数は減る
いまだこの国の多くは、「鈍感さ」から脱し切れていないようだ。
厚生労働省の「人口動態統計」によれば、2016年の年間出生数は前年に比べ2万8699人も減り、97万6978人となった。100万人に届かなかったのは、統計を取ってから初めてのことである。
100万人を割り込んだという事実だけでも、日本が〝消滅の危機〟に置かれていることは十分理解できる。首相が「非常事態」を宣言したってよさそうな局面であった。
ところが、100万人割れの「ミリオン・ショック」も冷めやらぬ中、2017年の年間出生数が94万6060人にとどまった(「人口動態統計月報年計[概数]」)。2年連続での90万人台である。
一方、2017年の死亡数は、戦後最多の134万433人。この結果、人口の減少幅はついに過去最大の39万4373人だ。気を揉んでいるのは、私だけではないだろう。
それ以上に危惧すべきは出生数の減少幅の大きさだ。100万人も生まれていないのに、わずか1年で3万918人も減ったのである。
過去10年を見ると、わずかながらプラスに転じた年もあるが、総じて減少幅は拡大している。この傾向が続いていくならば、人口減少のスピードは予想を上回り、社会への影響がより大きくなるかもしれない。
政府は、国民の結婚や出産の希望が叶った場合、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供数の推計値)が1.8程度にまで回復するとして、それを政策達成の目安にしている。もちろん、それが回復するに越したことはないが、少子化がここまで進んだ現状では、出生率が多少上昇しても出生数は減り続ける。
その証拠を、具体的数字としてお示ししよう。合計特殊出生率が過去最低を記録したのは1.26だった2005年のことだ。これに対し、直近の2017年は1.43である。これをもって、「少子化対策がようやく効果を見せてきた」と胸を張って語る政治家や官僚もいる。
だが、両年の出生数を比べてみてほしい。2005年は106万2530人生まれているのに、2017年は94万6060人と、むしろ減ってしまっているのだ。
合計特殊出生率だけを追いかけていたのでは、少子化の実態を把握することはもはやできない。政府は、あまりピンと来ない「国民希望出生率1.8」への回復などではなく、「出生数100万人台の回復・維持」を政策スローガンとしたほうが分かりやすい。