いつでもどこでも世界中からエントリーができる
エントリーシートや1次面接を思い切って「HireVue」の録画面接に切り替えた企業や、AIマッチングを導入した企業では、双方のメリットはさらに広がる。
通常、書類選考において、履歴書の文字数は400~600字、エントリーシートでは800~1000字程度。
それに比べ、動画から得られるデータポイントは約100万ポイントにも及ぶ。その中から「言葉、音声、表情」など、差異を抽出しやすいデータポイントは2万5000ポイント。

「その人が『優秀か否か』の判断はAIにはできませんが、『自社にマッチして活躍する人材か否か』は、ある程度データが蓄積されれば自動的にランク付けを行うことができます」
例えば、使用する名詞でその人の専門性が分かる、助詞・助動詞・接続詞の使い方で、論理性や知性が判断できるのだという。
「『自社で活躍する人』の特徴をAIマッチングでランク付けした際、入社間もなく退社している人は下位3分の一の層に集中しているというデータもあります」
ホテル業界やエアラインのキャビンアテンダントなど、求める人物像や避けたい人物像のイメージがはっきりしている業界・職種では、AIマッチングが成果を発揮している実績がある。
さらに、AIマッチングによる採用と相性のいい職種には、「グローバル企業でのトップリーダー候補」も含まれる。世界的消費財メーカーのユニリーバでは、「HireVue」の録画面接を活用し、世界中のどこからでも応募が可能となる。
「アメリカで急速に広がりつつあった録画面接システムのうち、どれを日本に持ってくるか。決め手となったのは、『多言語対応』です。圧倒的なシステムの使いやすさと、技術力の高さもありました」
当時、米国市場の競合13社のうち、日本語対応に着手していたものは「HireVue」のみ。タレンタが総代理店の契約をした際、対応言語は12カ国語。それがいまでは31カ国語にまで拡大している。それ以外の競合会社で、日本語対応しているものは、いまだにない。
海外システムにありがちな、その国のやり方を押しつけるのではなく、「各国の採用事情にローカライズした、きめ細やかな対応をしてくれるシステム」なのだ。
「採用担当者の語学力が足りなくても、システムの翻訳がカバーしてくれます。31カ国×31カ国の採用が可能になる世界です」
「質問力」を鍛え、選考フローを一気に短縮
ところで、録画面接とAIマッチングが主流になり、画一的な人材ばかりが集っては、不都合な職種もあるのではないだろうか。
「AIマッチングの導入に限らず、画一的な採用方針では、採用人材が“金太郎飴”になるリスクはあります。そこで問われるのが企業側の『質問力』です。どんな質問を候補者に聞くのか。そこに対するアドバイスは、われわれも丁寧に実施します」
「HireVue」の導入初年度は、これまでの選考フローにそのままプラスして様子を見る企業が多いそう。いわば「6割を通す」面接。質問も「自己PRをしてください」「学生時代に力を入れたことは何ですか」などの通り一辺倒な質問になりやすい。
一方で、対面面接とほぼ変わらない精度で判別ができると確信した企業では、導入2、3年目で、質問を大きく変更させるケースが多いのだという。
より自社への志望度が高く、なおかつ自社内で活躍できそうな人材だけを通す質問。記念受験的な応募者ではそもそも回答ができないような質問を練り上げ、候補者の2割だけを通す面接へ進化させる。
さらには、その回答動画がAIマッチングによる採点が行いやすい質問にもなるよう工夫をするのだ。