「企業がどんな質問をすればよいのか。独自に質問や正解例を考えるI/Oサイコロジスト(産業・組織心理学者)をHireVue本社では多数採用しています」
録画面接やAIマッチングを進化させることで、否応でも「自社で求める人材・活躍している人材とは」を見直すきっかけとなり、そのために面接では何を聞くべきかを改めて突き詰める。
AIマッチングの精度に確信を持った企業では、選考フローを5段階から2段階へ短縮させた事例もあるほど。つまり録画面接の後は、いきなり最終面接だ。

書類選考や適性検査のみを通過した100人に対面面接をするよりも、録画面接でよりマッチングの可能性が高そうな上位層にたいして、より時間をかけた面接が可能になるというわけだ。

「3年目ごろから選考フローの短縮・省力化に大きく貢献できるケースが増えています」
落ちても「楽しかった」と言われる選考とは
相互理解が必要な面接において、「企業が何を質問するか」だけでなく、当然、自社のカルチャーを候補者に深く理解してもらう必要もある。
「HireVue」の利用企業には、人気企業も多い。例えば「星のや」を運営する星野リゾート。一度、星のやを利用した「ファン」からの応募も多いが、従業員として働く立場と、“お客さま”としてくつろぐ立場では見えるものは当然違う。
それでも、ブランド価値を損なわず、採用で縁がなかった人にもファンでいてほしい。そんな選考では、録画面接が絶大な威力を発揮している。例えば、顧客とのトラブルを想定した「シチュエーションドラマ」を見せ、「あなただったらどうしますか」と聞く。
シナリオに対する理解力、答える思考力、表現力などがしっかりと確認できる。「こんなに厳しい世界なのか」と、そこでエントリーしない候補者がいたとしても、ブランド価値が損なわれることはほとんどない。
「企業紹介動画の段階から、ファンを引き付けるのがうまい企業も多いです。『うまく答えようとしなくて構いません。私たちはあなたの本当の姿が知りたいのです』と応募者をうまくリラックスさせています。録画面接の選考自体を「楽しかった」と表現する応募者が多い。
企業紹介の方法も質問の仕方も、われわれも企業にアドバイスしますが、それ以上にわれわれもユーザー企業に学ばせてもらっています」