2018.07.11

「ロックなおやじ」たちはなぜ、自殺してしまうのだろうか?

あなた自身にも関わる問題です
川崎 大助 プロフィール

最近、もうすこし下の世代で同種の事件が目立っていた。中年のロッカーが死に向かっていた。17年に世間を大きく騒がせたのが、アメリカの人気バンド、リンキン・パークのヴォーカリスト、チェスター・ベニントンが41歳で自死したことだった。

7月20日、ロサンゼルスの自宅で首を吊った状態で彼は発見された。同年5月には最新アルバムを発表、全米1位を獲得したばかりだったため、この事件はすさまじい衝撃を呼んだ。

ベニントンの死を「さらにほかの死」と結びつける声も多かった。彼の死に先立つ同年5月17日、ベニントンよりもすこし年上のロック音楽家が自死していた。クリス・コーネルだ。

90年代の「グランジ」ブームに乗って大ヒットを飛ばしたバンド、サウンドガーデンのフロントマンだった彼は、このときライヴ・ツアー中だった。ミシガン州デトロイトでの公演が終わったあと、やはりホテルの部屋で首を吊った。52歳だった。

コーネルとベニントンのあいだには親交があった。だからベニントンの自死を、コーネルを追っての行為である、とする意見もあった。7月20日はコーネルの誕生日だったからだ。しかし両者ともに遺書などはなく、彼らが死を選んだ理由は闇のなかだ。

こうした有名人だけではなく、無数の無名の「ロックおやじ」たちが同様に死へと向かっていっているのではないか、と僕は危惧している。あるいは「ボーデイン・ショック」からの死の連鎖が始まることをまず第一に怖れる。

 

「死の波」はふたたびやって来る

ロッカーは、よく死ぬ。信頼するに足る統計が世にあるのかどうかわからないが、一般的な印象として、そう言い切っていいはずだ。ロック音楽家やその熱烈なファンは、身持ちが悪く、破滅的だったり、自堕落だったりして「すぐに死ぬ」ように思える。

ただ、20世紀までの常識としては、「若いうち」に死ぬものだった。

たとえば死んだロッカーの分類法として、「27クラブ」という有名なものがある。ジミ・ヘンドリックスジャニス・ジョプリンジム・モリソンなど、60年代末に活躍した才能豊かなロック音楽家たちが、なぜか判で押したようにみんな「27歳で」相次いで世を去った。そのことに端を発する言葉がこれで、最近では11年に没したイギリスのシンガー、エイミー・ワインハウスが同クラブ入りした。

ジミ・ヘンドリックス、1970年のライブ(Photo by Gettyimages)

だが近年において最も有名な27クラブのメンバーは、94年に他界したカート・コベインだろう(コバーンというカタカナ表記が日本では多いが、それは完全なる間違いだ)。

世界中で爆発的なヒットを飛ばしたオルタナティヴ・ロック・バンド、ニルヴァーナのフロントマンだった彼は、自らショットガンで頭を吹き飛ばして死んだ。つまり自殺だ。この点が、上記で僕が名を挙げたクラブ・メンバーの全員と異なるところだ。

前述の者たちは、薬物過剰摂取を含む事故死、または病死(突然死)と見られていた。不慮の死だ。コベインだけが、明確に自ら死を選んだと考えられている。

コベインと僕は、生まれ年が近い。僕は65年、彼は67年だ。もっとも、僕はライヴを観たことがあるだけで、彼と直接の面識はない(共通の知人はアメリカに多いのだが)。クリス・コーネルは65年生まれだった。つまり、こういうことが言える。

『ロックな奴』は、20代のころに一度『死の波』に洗われることがある

そこをやり過ごしても、また波は帰ってくる

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