地方創生とは何だったのか?
2014年5月、増田寛也を座長とする日本創生会議・人口減少問題検討分科会が「増田レポート」と後に呼ばれる提言を提出し、それを受けて9月に発足したばかりの第二次安倍改造内閣が「まち・ひと・しごと創生本部」設置して以来、すでに4年が経とうとしている。
その間、「地方創生」は流行語として人口に膾炙し、また交付金や事業費、その他政府の様々なプロジェクトをあわせ、2017年には1兆7536億円、2018年にはおよそ1兆7877億円の予算が付けられている。
だが結果として、目立った成果は上がっていない。膨大な予算とエネルギーがつぎ込まれ、「地方創生」はいったい何を成し遂げたのだろうか。

地方創生の目的
それがわかりにくいのは、地方創生が何をゴールとするのかが、なかなかみえてこないからである。地方創生によってどんな「地方」が「創生」され、なぜそれが望まれるのか。それがはっきりしなければ、その成果も測りがたい。
たしかに公式には、地方創生の目標は打ち出されている。第一の目標は、まず地方経済の活性化である。
当初に出された「まち・ひと・しごと創生 「長期ビジョン」」(2014)では、地方経済の成長を促すことで若者の雇用を増やし、格差を縮小する(①「地方における安定した雇用を創出する」)ことが、目標とされた。
それと並んで軸とされたのが、人口減少を止めることである。
このままでは少子化と人口流出で維持困難な自治体(消滅可能性都市)が出ると増田レポートが恐怖心をあおることで、そもそも地方創生は始まった。
それを回避するために、東京に流出する人口を抑制し(②「地方への新しいひとの流れをつくる」)、出生率を上げる(③「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」)ことが、目標として掲げられたのである。
もう一つ、④「時代に合った地域をつくり、安全なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」という目標もある。
だがそれを①、②、③の結果とみなせば、地方創生の目的は、実質的には、地方の経済成長と人口増加にあったといってよい。