「最もエネルギーをかけない脱水は、放置して重力沈降させることです。重力沈降で含水率は97~98%になります。
“減った水分はたった2~3%”と思えるかもしれませんが、活性汚泥の当初の菌体濃度は約0.2%(含水率99.8%)です。これが含水率98%になれば、乾燥菌体の割合は2%になり、10倍濃縮されたことになります。
凝集剤を入れて沈みやすくしても、完全に脱水することはできないので、ベルトプレスや遠心分離機などで機械的に脱水し、ようやく含水率は70%程度になります」

汚泥を脱水して濃縮したものは「脱水ケーキ」と呼ばれています(cakeには食べるケーキ以外に、塊という意味があります)。
水分量70%前後というのは、人体の水分量と同程度です。ここまで水分量を減らせば、補助燃料で汚泥を焼却して、残った灰を埋め立てることができます。

しかし、埋め立てには土地の不足や、埋立地(最終処分場)から重金属などの有害物質が浸出することへの懸念があります。
また、下水汚泥は一般ごみよりも窒素の含有率が高いため、焼却すると温室効果ガスの酸化窒素が発生するなどの問題があります。
そこで、汚泥をゴミとして扱うだけでなく、資源やエネルギーとして再利用しようという試みがなされてきました。