高速で大渋滞! 「15kmで10分差がつく」車線はこっちだ!
最新研究で解明!「渋滞学」の極意「渋滞学」の第一人者である東京大学の西成活裕氏に教えてもらう特別企画の後編は、「渋滞時の車線の選び方」や、「渋滞の解消や交通の効率化を目指した驚きの最新技術」について紹介する。(前編はこちら)
一番「お得な」車線はここだ!
「あぁ、混んできたな……」
そう思った時、あなたならどの車線に入るだろうか。
片側2車線の高速道路を走行中なら、選択肢は二つに一つ。走行車線(左)か追い越し車線(右)だ。
答えを言ってしまうと、右……ではなく左、つまり「走行車線を走ったほうが良いです」と西成氏は話す。
2車線の高速道路における車の平均速度の変化を示した下の図を見ると、たしかに速度が50km/hを下回っている時には、追い越し車線のほうが遅くなっている。

では、3車線ではどうだろうか。今度は第一走行車線(左)、第二走行車線(真ん中)、追い越し車線(右)と選択肢が一つ増える。
どっちにも逃げられるように無難に真ん中を選ぶ人も多いと思うが、実はこの場合も、速いのは「左」の第一走行車線だ。しかも基本的には、真ん中の第二走行車線が一番混みやすいという。
「我々が行った検証実験では、混雑時(混みはじめ)の平均速度は、第一走行車線が時速25~30km、第二走行車線が時速約20km、追い越し車線は時速15~16kmという結果になりました。
一番左と右で10キロ近い差があります。車の量も追い越し車線が最も多くなるので、結局、渋滞は追い越し車線から始まるのです」(西成氏、以下同)

無駄な努力をしているドライバーも
そうは言っても、腑に落ちない人もいるかもしれない。第一走行車線は合流があり、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)付近で混雑しやすい。
「たしかに合流部では一時的に遅くなります。でも、早く行きたい車は合流してすぐに車線変更をして抜けていきます。
一方で、合流があれば分岐もあります。分岐では一気にサーっと進むので、先に自分を追い越していった車を抜いてしまうことも珍しくありません」
これぞ「短気は損気」ということだろうか。
だが、縫うように頻繁に車線変更を繰り返す迷惑な車がいるのも事実だ。