上場インフラファンドのビジネスモデル
上場インフラファンドの仕組みは分かりにくいとよく言われます。その分かりにくさの原因は、独特の専門用語の言い回しや、投資法人(上場インフラファンドやJ-REITで使う法人)特有の制度があるからです。
上場インフラファンドのビジネスモデルを簡単にまとめると、以下のようになります。
投資家は、投資口(株式会社の「株式」にあたる有価証券)を、証券会社に注文し購入することで、投資主(株式会社の「株主」)になります。
投資法人は、投資主からの出資金と銀行からの借入金により、インフラ資産(太陽光発電所)を購入し、オペレーター(太陽光発電所の運営を行う会社)に賃貸します。
オペレーターは、投資法人から借りた太陽光発電所を運営して発電した電気を、電力会社に売却し、売電料を受け取り、そこから投資法人に賃料を支払います。
投資法人は、オペレーターから受け取った賃料から、経費を差し引いて残った利益を原資として、投資主に対して、分配金を支払います。
これらの営業活動に関する意思決定は、主に、投資法人の外部にいる資産運用会社が行います。この理由は、投資法人は、投資資産を運用することだけを目的としてつくられた器(うつわ、ビークル)であり、法律により、資産運用業務を第三者に委託することが義務付けられているからです。
「固定価格買取制度」のリスク
上場インフラファンドも金融商品である以上、投資リスクがあります。そのなかでも、「固定価格買取制度(FIT制度)」に関するリスクを説明します。
国は、再生可能エネルギーの拡大を目指す一方で、FIT制度の買取価格は引き下げが続き、制度開始時の半分程度になっています。
上場インフラファンドが既に保有している太陽光発電所の買取価格は、20年間固定されているため、引き下げ対象にはなりません。しかし、将来的に、買取価格が大幅に下落して、新規に太陽光発電所を開発することが難しくなった場合、上場インフラファンドが新たに取得できる物件が少なくなり、ファンドの規模拡大による成長が困難になる可能性があります。
また、売電価格が20年間固定されていることはメリットである反面、インフレになった場合でも、売電収入は増加しないというデメリットもあります。ただ、2013年に日銀が掲げた2%の物価目標もまだ未達であり、太陽光発電事業の運営に支障をきたすレベルのインフレが本当に発生するかはわからないところです。
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最後に、現在、東証に上場しているインフラファンドをご紹介します。
(※1)各数値は、2018 年 9 月末日時点のデータを使用。
(※2)分配金利回りは、投資額に対する予想分配金の割合。
計算式:分配金利回り=年間予想分配金÷投資口価格
(※3)「スポンサー」とは、上場インフラファンドの資産運用会社の大株主であり、上場インフラファンドの運営に関して、様々なサポートを行っ ています。詳細は、次回の記事でご説明します。
(出典:各社公表資料より筆者作成)
これら5銘柄は、太陽光発電所を投資対象としていることは共通ですが、各銘柄でそれぞれ異なった特徴があります。
その詳細は、次回「上場インフラファンドの選び方」でご説明したいと思います。