2018.09.16
# 不動産

「東京五輪後、日本の不動産は暴落する」はフェイクだった

各国の「五輪後」を調べれば一目瞭然
長嶋 修 プロフィール

ただし、中長期的には低落傾向

ここまで見てきたように、日本の不動産が90年のバブル崩壊の頃のようにある日突然に暴落する事態は今のところ考えられませんし、オリンピックの影響を云々することにもあまり意味がありません。

しかし確実に人口減に向かっている現在の日本の人口動態を見れば、中長期的、かつ全国的に緩やかに低落していくことも間違いありませんし、その傾向に拍車をかけるであろうトピックがこれから数年の間に2つ控えています。

ひとつは今から4年後の2022年に、「生産緑地法」の規定が30年の満期を迎えることです。

 

生産緑地法はもともと、1970年代当時の深刻な住宅不足を解消するため、都市部の農家に農地を宅地転用してもらう狙いで制定された法律です。

ふつう、農地に建築物を建てることは農地法によって厳しく制限されているのですが、市街化区域内にあって、なおかつ面積が500平方メートル以上ある土地では、所有者がその土地を農業(農林漁業)を営むために必要とする場合に限っては「生産緑地」に指定され、建築物の新築、改築、増築等が認められるようにしました。

そして同法は都市部の農家からの強い要望を受け1992年に改正され、生産緑地の所有者がその土地を農地として管理(実際にその土地で農林漁業を行い、住宅などは建てない)する限り、固定資産税の課税を「30年間」は農地並みに軽減されることになりました。

その満期が2022年についにやってくることで、今度は農地から住宅地に転用される土地、つまり不動産市場に投入される土地が相当数出ることが予想されるのです。

Photo by iStock

国土交通省の「平成27年都市計画現況調査」によれば、13年3月時点の生産緑地は全国に1万3442ヘクタール(約4066万坪)、東京都だけで3296ヘクタール(997万坪)存在します。私は少なくともこの20%程度、多ければ30%ほどの生産緑地が不動産市場に出てくる可能性があると予測しています。

ただでさえ「空き家問題」が深刻化しているなかで、東京ドーム900個分に相当する面積の土地が新規に住宅市場に流れ込むのですから、住宅市場全体の相場が押し下げられるのは避けられません。これは、下落要因になるでしょう。

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