2018.09.18

自分は自己表現がうまくできている、と思いこんでいる人へ

自己表現力チェックテスト・前編

いざ目の前に生きている人間が来ると、急には適切な言葉が出てこない。猫背で不景気感が漂う姿勢でも自分では気づかない。まして、面白い話に顔を輝かせて、「そうですか。それは驚きました。もっと聞かせてください!」なんというしゃれた表現ができない。

パフォーマンス学ではこれを「言語調整動作」(レギュレイターズ)と呼び、相手の話をうまく転がすには不可欠なあいづち類なのに、それができない。

かくしてプログラマーがクライエントのニーズをちゃんと聞いてこないと、作品に微妙なミスマッチがおき、また修正が必要になる。

仲間とのコミュニケーションが苦手なために、大きなプロジェクトを組んで仕事をする際に意思疎通がうまくできない。本人もノリノリ気分になれないけれど、相手も「何考えてるの、あいつ?」となる。この原因はいろいろあるでしょう。

それを大きく分けると次の3つです。

自己表現力不足の3つの原因

①自己表現の良し悪しは学校の試験に出なかった
国語で、ことばについては文章力など最低限チェックがあっても、その文章をどんな顔で言うか、などとどこでも教えてこなかった。

②「自分では自己表現は自然にできている」と思いこんでいる
コレガイチバンクセモノです。単なる自信過剰というものでしょう。自分の自己表現は自分に見えない。見ている相手は遠慮があるから「お前の顔、無表情だぞ!」なんて、よほど親しい間柄でないと言わないでしょう。

かくて、本人も気づかないうちに嫌われていたり、外されていたりする。ここが上手い人は逆に、好かれて話が弾む。結果、仕事がとれます。

③「仕事は実力がすべてで、表現のしかたには影響されない」と思っている
こういう人が日本人にはまだ多い。だから1979年、ニューヨーク大学大学院に世界初の「パフォーマンス研究学科」ができて、うまく1年間で修士号を取って、世界第1期生として卒業して、1980年から日本で「パフォーマンス学」、後に「パフォーマンス心理学」を展開した私には、当時は反感ばかりでした。

「中身がよければ、言い方や顔や動作や姿勢なんてどうだっていいでしょう?」というのです。おかげで「パフォーマンス」には見せかけやまやかしというマイナスイメージが常につきまとってきました。

あれから40年、やっと社会が追いついた。あのリオ五輪での、東京五輪オリンピックプレゼンを見てください。安倍首相だって312秒(5分12秒)のプレゼンの中で、76回もアームをふりあげ、207.5秒間もアイコンタクトし、(あまり大きくない目とはいえ)眼輪筋を222.5秒も動かしています。

テレビ局からの依頼と単行本執筆のために安倍首相を分析した私は、まさに目を疑いました。「これが同じ人?」と。やればできる、のです。

自己表現下手では国際会議で聞いてもらえないだけでなく、毎日の日常の仕事で損をします。まずはあなたも、今日から次の2つだけでもやってみてください。