昼休みの後は集中力が続かなくなるが、対策はある。
劇的に成果を出すことのできる「時間帯」は存在する──。
ベストセラー作家ダニエル・ピンクの最新刊『When』より、あなたの生活にすぐ役立つ「時間生物学」の成果をお伝えしよう。
みんな同じ「ピーク・谷・回復」パターン
地球に生きている以上、単細胞生物からホモ・サピエンスに至るまで、すべての生物には体内時計がある。
2万個の細胞群が集まった視交叉上核と呼ばれる米粒サイズのものが、私たちの体温をコントロールし、ホルモンを調整し、夜眠って朝目覚めるというリズムを生み出すのに役立っている。
オジギソウが1日のなかで開いたり閉じたりするように、人間にもある種のパターンがあることがわかっている。
コーネル大学の社会学者マイケル・メイシーとスコット・ゴールダーが、84ヵ国240万人のユーザーが2年間に投稿した5億件以上のツイートを分析した調査結果がある。
ポジティブな投稿は午前中におおむね高まり(ピーク)、午後に急に落ち込み(谷)、夕方になると再び高まる(回復)。
この結果は、投稿者の人種や国や性別にかかわりなく、投稿が月曜でも木曜でも関係なかった。週末はポジティブな投稿の高まりが平日より2時間遅れるが、「ピーク・谷・回復」のパターンは変わらなかった。
自分のクロノタイプを知っておこう
ピーク・谷・回復の3つのパターンは共通だが、「クロノタイプ」つまり、私たちの生理機能と心理に影響を与える概日リズムの個人パターンは、各自異なる。
世界的に著名なドイツの時間生物学者ティル・レネベルグが開発した質問で、自分のクロノタイプが簡単にわかる。
1、 通常、何時に寝るか?
2、 通常、何時に起きるか?
3、 その中間は何時になるか?(たとえば通常午後11時半に寝て午前7時半に起きる人の中間地点は、午前3時半になる)
次に、自分が以下のグラフのどこに当てはまるか見つける。

「朝型・夜型」とよく言われるが、おそらくあなたはどちらでもない。朝に強いヒバリ型は14%、夜に強いフクロウ型は21%。65%を占める「第3の鳥型」が多数派である。
クロノタイプは遺伝によるものだが、どの季節に生まれたかでも変動する。秋生まれや冬生まれはヒバリ型、春や夏に生まれた人はフクロウ型になる傾向が強い。
「サマータイム」を導入してはいけない理由
サマータイム導入を検討する東京五輪の大会組織委員会に対して、IOCのジョン・コーツ委員長は支持を表明している。
だが、「これを機に学校や企業にもサマータイムを」というのは早計と言えそうだ。なぜなら年齢もクロノタイプに大きな影響をもつためだ。