50代でも予備自衛官に…自衛隊、止まらぬ「高齢化」の実態

平均年齢は米陸軍より7歳上
半田 滋 プロフィール

自衛隊「高齢化」の実態

それにしても、一般隊員や予備自衛官の採用年齢を引き上げることによって、自衛隊という組織全体の年齢はますます上がっていくのではないだろうか。

自衛官の平均年齢は1990年には31・8歳だったが、2011年には35・6歳とほぼ5歳上がり、その後現在まで変わっていない。

防衛白書(平成24年版)より
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また、防衛省が2007年に陸上自衛隊と米陸軍、英陸軍の幹部(自衛隊の場合、3尉から陸将まで)の平均年齢を調べたところ、陸上自衛隊は41歳で、米陸軍の34歳、英陸軍の36歳と比べて年齢が高いことが判明した。特に陸上自衛隊の場合、現場に出ることが多く、体力を必要とする尉官に45歳以上が多かった。

防衛省の報告書より。上段が陸上自衛隊、下段左が米陸軍、右が英陸軍
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米陸軍幹部の年齢が低いのは、入隊後、大佐30年、中佐26年、少佐20年と在職期間に制限があるためで、軍隊を辞めたくなければ、上の階級に昇進しなければならないという厳しい競争環境にある。

また英陸軍の場合、少尉に任官後、佐官試験に合格しなければ16年までという在職制限があり、やはり昇進しなければ軍にい続けることはできない。

自衛隊に米英軍のような在職制限はなく、言葉は悪いが「ぬるま湯」状態。階級が上がらなくても、定年までい続けることができる。

かつて防衛省も米英両国のような制度の導入を検討したが、「国家公務員の中で自衛官だけ早期退職させるのは難しい」「早期退職させた分、隊員の補充が不可欠となるが、実際にはできない」などの理由から、導入を見合わせた。

 

報告書は「自衛隊のような実力組織においては組織をより精強な状態に維持することが必要」「国際平和協力活動などで実際に活動することが増えていることを踏まえれば、現状の年齢構成は望ましくない」と言及しているにもかかわらず、有効な解決策を打ち出すこともなく、今日に至っている。

そうした中での今回の採用年齢引き上げは、ただでさえ「高年齢組織」といわれてきた自衛隊の現状を「悪化させる」と批判されても仕方ないだろう。

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