老いた巨人IBMは驚愕の「3・8兆巨額買収」でGAFAに勝てるか

買った会社の売上は「3000億円」

「ビジョン」なき経営者は去れ 

受託型ソフト開発業の多くは、実質的にIT技術者の派遣業だ。派遣技術者1人の売上げから、毎月数万円の管理費を徴収すれば経営は成り立つので、ちょっと才覚がある技術者や営業マンは同様の擬似派遣業を起業する。もとより技術の高さでは勝負していないので、同類・同質のIT技術者派遣業が林立するばかりで、そこにはイノベーションもなければM&Aも起こらない。

今年上半期の日本企業による海外M&A総額は11.7兆円で、2年連続の世界トップが見えてきた。しかしその約6割は武田薬品の分だし、さらにいえば、そもそも米国企業は海外企業に関心を持っておらず、国内でのM&Aのほうがはるかに大きな効果があると考えている。

1990年代の半ば、ボブ・ヤング氏が廊下ですれ違っただけの日本人記者に取材を約束したのは、日本市場が魅力的だったか、日本のIT企業と資本関係を含めて提携することに意味を見出していたからだ。しかしここ数年の「日本品質」の劣化が顕著なように、海外の企業から見て、日本が魅力的だった時代はもう終わったと考えたほうがいい。

IBMによるレッドハット買収が期待通りの効果をもたらすか、AOL・タイムワーナーのように失敗に終わるか。そこは結局「神のみぞ知る」で、誰にも結果は見えない。ただ、米国のリーディングカンパニーはたとえ老いたとしても「ビジョン」で動いていて、そのビジョンを描き推進する能力を持つ人材が経営者になるのだ、ということだけは言える。

筆者は今回の衝撃的なニュースを、こう受け止めた。第一に、「クラウド市場の世界競争に、日本企業はもはや参加する資格すら失ったのだな」ということ。第二に「こんなに思い切った決断ができる日本人経営者がいるか?(何事もなく任期満了したい、雇われ社長ばかりではないか)」。第三に「ダイナミックな企業活動からしか、イノベーションは生まれない」。そして第四は「ノンIT企業がITを駆使できれば、日本でもIT産業はもっと活性化できる」だ。

いずれにせよ、硬直した業界の仕組みをこのまま放置すれば、日本のIT産業を待ち受けるのは、穏やかで緩やかな死ではないだろうか。

関連記事