消費税導入から30年間も「ある大事なこと」を放置した財務省の怠慢
税収が増えるから大きな声では言えないそもそもインボイスって何?
2019年10月の消費増税に向けて、国会では軽減税率の議論が加速している。
一方、軽減税率にともなう税収減に対して、財務省は「インボイス」(適格請求書)の導入を検討している。辞書どおりの意味を書けば、インボイスとはモノの売り手の事業者が買い手の事業者に対し、消費税の適用税率や税額を伝えるために発行する請求書のことだ。
普通に生活しているとあまり聞かない単語だが、税制にインボイスなる請求書が導入されるとどのような影響が出るのか。
消費税は国民を苦しめる「諸悪の根源」と捉えられることが多いが、裏を返せば政府としてはもっとも効率よく税金を集められる優れた方法ということになる。ただし、それは先のインボイスが付随していればの話だ。
というのも、インボイスを導入することで、消費税の「脱税」が防止でき、より効率的に税収を上げられるからだ。
どういうことか。ある商品をメーカーが75円で小売店に売り、小売店はそれに100円の値段をつけた場合を考えよう。いまの税率だと、客はこれを消費税込み108円で買うことになる。
一方、小売店は売り手のメーカーから商品に関するインボイスをもらう。そのインボイスには、「商品価格75円、消費税率8%で消費税額6円」と書かれている。そのため、実際には小売店は消費税込み81円で商品を仕入れる。
そして消費税について、メーカーは6円、小売店はメーカーが払う6円を引いた2円をそれぞれ税務署に払う。だが合計の消費税分を客からもらうのは小売店のほうだ。もし小売店が消費税をごまかそうと思えば、メーカーが支払う消費税を小売価格に上乗せすればいい。