1食100円の「体にいい食事」
図表をご覧ください。和食のメニューはどれも、1人1食100円以内でできるものです。


米、みそ、煮干し粉、野菜などの材料は、いずれももっとも安いものを使っています(野菜は季節や気候によって値段に変動があります)。みそ汁の具や副食類は、どれもコンビニエンスストアやスーパーマーケットで買えるもので、特別なものはなにも使っていません。
「こんな安い食事で、必要な栄養がとれるのか?」「和食より洋食のほうが、スタミナがつくはずだ」と思う人は、そもそも「生きるための食事」とはなにかを誤解しています。「生きるための食事」は、ずっと昔から日本人が食べ続けてきたもの。つまり和食です。それをエネルギー源として、私たち日本人は、いまよりずっと厳しい労働をこなしてきました。
たしかにメニューの内容は質素です。しかし、質素ではあっても粗末ではない。「まともさ」という点でいえば、お菓子やサプリメントを食事代わりにするのとは比較にならないほど、まともな食事です。
経済合理的に考えてみよう
基本中の基本は「ごはんとみそ汁」。それに、野菜・海藻・豆・魚を素材とした副食(おかず)が2~3種類あれば十分です。また、副食が漬物・佃煮・煮豆のような保存食であれば、1回食べて終わりではなく、そのあとも何日かおかずのひとつに加えることができるので、より経済的です。
ここで紹介したのは朝食を想定したメニューですが、食べる方の年齢や嗜好によっては、もちろん昼食や夕食にも応用できます。また、これらのメニューに一切れ100円のチリ産のシャケの切り身をつければ、立派な夕食になります。それでも値段は1人1食200円以内でできてしまいます。
和食メニューと比較する意味で、「トースト、ハムエッグ、サラダ、牛乳」という典型的な洋食風の朝食メニューも紹介しておきました。たったこれだけで和食の倍の値段。お得なのはどちらか、しかも、どちらが「体にいい食事」かも、一目瞭然でしょう。
洋食には、マーガリン、ハムエッグに使う油、ドレッシングなど油脂類が多く使われています。そのうえ、近ごろはパンの中にも原材料として油が入っています。しかも値段は和食の倍!なのです。普段、なにげなく口にするハムエッグとサラダが、いかに「高価な贅沢品」であるかが、よくわかります。
「生きるための食事」すなわち「健康な食事」とはどういうものか。基本をきちんと理解すれば、リーズナブルに「健康な食事」をとることは可能だということが、おわかりいただけると思います。いえ、経済合理的に考えれば食事を間違うリスクは減る、といえるのです。