世界の最先端情報が集まる「AIサミット」に潜入した
空前のAIブームが到来した日本ではあるが、企業もAIエンジニアたちでさえも、世界の趨勢からは大きく出遅れていることは、過去2回の記事で指摘した。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57542
◆「日本を覆うAI万能感のあぶない正体」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57557
ではAIの最先端の現場とはどのようなものなのだろうか。
筆者は9月、アメリカのサンフランシスコで開催された「The AI Summit 2018」に参加した。GoogleやFacebook、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などAI開発にしのぎを削る有力企業が協賛・登壇するこのイベントには、世界から3000人を超えるAI人材が集まった。
1000人規模のホールから100人程度のスペースまで大小4つのセッション会場に分かれて、各社を代表するAI開発の第一線の現場責任者や経営幹部が登壇し、惜しげもなく自分たちのAI技術を披露した。
聴衆たちも一流ぞろいだ。シリコンバレーのあるサンノゼからはアメリカ人のほかに、そこに開発拠点を持つ中国企業からも多くの研究者やエンジニアたちがやってきた。
以下、そこで見聞きしたグルーバルなAI技術の最先端事情について詳しくレポートしていこう。
グロバールの潮流は「サービスのAI化」である
今回、筆者がAIサミットに参加した目的は、世界の最先端AI企業が、今後どのような展望を持っているのか、向こう2年ほどのトレンドをつかむためだ。
それには2つの意味がある。ひとつは、AIの大きな潮流に異変はないかを確かめること。もうひとつは、AIがどのようなサービスに使われようとしているのかを確かめることである。
結論から言えば、今回のAIサミットでは、これまでのトレンドを一変させてしまいそうな兆候は見当たらなかった。一方で、そのAIの用途が格段に広がっていることが今回のAIサミットで確認できた。
実際、参加企業のブースを回ってみると、AIを使ったソリューションを展示する企業が増えていた。つまりGoogleやAppleやAmazon AWSのようなプラットフォームをSaaS提供するAIだけではなく、そのプラットフォーム上でのマーケティングやセキュリティなど、用途、目的に合わせたAIエンジンがたくさん登場しているのだ。
すでに世界は、ビジネスの中枢に位置する制御システムをAI化することはもはや前提となっており、さらにそこから枝葉が分かれるように、細かなサービスまでAI化されていくフェーズに突入したということだ。
向こう2年で一般の人にとっても、AIはかなり身近な存在となるはずだ。