「婚外子に財産を遺したい夫」vs「遺したくない妻」の壮絶バトル

新・争族の現場から④
江幡 吉昭 プロフィール

妻の作戦勝ち

これによって、どれだけの効果があったのでしょうか。

例えば、現金や自宅不動産などで財産が100あったとします。今回のケースでは死後認知があったために、法定相続分の内75の財産は妻と子、25の財産は認知した子供が相続するということになります。

 

一方で、100の財産のうち30は死亡保険金でした。とすると死亡保険金の30は全額妻と子にいき、残り70の財産のうち75%にあたる52.5が妻と子の取り分となるため、合わせて82.5の財産が、最終的に妻と子を相続することになるのです。認知した子供には17.5しかいきません。

この生命保険による対策がなければ婚外子に渡っていたはずの遺産(25%)のうち30%もの相続財産が、減った計算になるわけです。

もちろん山田さんがいつ死ぬかはだれにもわかりません。生活費を切り詰めてコツコツ保険料を支払われたわけですから、奥さんも相当に苦労したことでしょう。

しかし山田さんが若くして亡くなったことで、「なるべく財産を婚外子に渡したくない」という妻の願いが、意外に早く叶ったというわけです。

さて、今回のケースから学ぶべき教訓はなんでしょうか。

現預金や不動産などの財産は、遺留分減殺請求の対象財産となりますが、死亡保険金は原則、その対象にはなりません。生命保険を毛嫌いする方も多いですが、保険にはこのような使い方もあります。夫や妻の財産を少しでも有利に相続したいと考えている方は、参考にするといいかもしれません(しかし、その願望が叶うのは配偶者の死と引き換えでしかないということは忘れてはいけません)。

因みに山田さんと別れた女性ですが、今は外資系企業でキャリアウーマンとして活躍しており、子供と2人で幸せに暮らしているようです。果たして今回の物語の本当の勝者はだれなのでしょうか。

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