2018.12.18

この先、「実家」をどう処するかを考えていない人へ

家も土地も売れない時代です
野澤 千絵 プロフィール

住まいや土地の売却はますます困難に

私がそう述べる理由は、2025年頃には団塊世代が75歳以上となり、大量相続時代を迎える、つまり、高齢者のみの持ち家世帯が大量に「消滅」していくことも懸念されているからである。

実際、高齢者のみの持ち家世帯の消滅は、今後、どのように進行していくのだろうか?

そこで、国勢調査の「持ち家の夫婦のみ世帯・単独世帯」の年齢別世帯数のデータをもとに、日本の持ち家世帯の消滅数の予測(*1)をしてみた(下図表)。

その結果、日本の持ち家世帯の消滅数は、2010〜2015年までの5年間の実績値で109万世帯(年平均21.8万世帯)だが、2020〜2025年には約1.5倍、2030〜2035年には約2倍になり、その後は220万世帯前後で高止まりし続けるという予測となった。

国立社会保障・人口問題研究所の『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018年推計)によると、2015年から5年間の日本の総世帯数(一般世帯(*2))はその前の5年間と比べ年平均で15.5万世帯増加するが、2023年頃から減少に転じ、その後は減少していくと予測されている。

一方、図表に見るとおり、同じ期間に持ち家世帯は年平均で28.1万世帯減少するという予測となっている。つまり、世帯数の増加分よりも、持ち家世帯数の消滅分のほうが多くなるということである。

また、新設住宅着工戸数(持ち家系)は2015〜2016年度の年平均で53.6万戸(*3)、解体等によって滅失した住宅は年平均で11.3万戸(*4)であるため、統計上では、住宅総数は年平均で42.3万戸増加している。

こうした結果を踏まえると、住宅市場の中古住宅の量はますます積み上がっていく可能性が高い。要するに、相続発生後に問題を先送りすればするほど、相続した住まいやその土地の売却が困難になるリスクが高まると考えられるのだ。

 

住まいを終活すれば、まちの未来も明るくなる

だからこそ、相続が発生する前から、所有者やその相続予定者が、住まいに関わる様々な情報を整理・共有し、相続発生後の選択肢を考え、そのために安心して相談できる人的なつながりをつくっておくなど、住まいを円滑に「責任ある所有者・利用者」へ引き継ぐための活動が重要になってくる。

住まいを持っている所有者やいずれ相続人になる家族等が、住まいを終活する必要があるのだ。

こうした問題意識のもと、一人ひとりが「住まいの終活」へと具体的に動き出すきっかけになればという思いを込めて、『老いた家 衰えぬ街──住まいを終活する』(講談社現代新書)を上梓した。

この本では、住まいを終活する際に検討すべき様々な選択肢や、民間市場での流通性が低い物件・エリアに対して、実際に空き家やその跡地を「使う」ためのコーディネートに取り組む先進事例も多数紹介している。

また、相続が発生する前に整理しておくべき住まいに関する情報をチェックシート形式でリスト化した「住まいの終活(エンディング)ノート」を特別付録とした。

それぞれの住まいでの思い出をたどりながら、住まいに関わる様々な情報を一つ一つ整理していく中で、住まいを終活する道筋を見出して頂ければ幸いである。

関連記事