ただし、この方法で良い結果が得られるのは、現状ではがんのうちのまだ2割から3割程度である。
しかし、その後、免疫反応、炎症反応のブレーキには新たなものがいくつか明らかになってきていることから、複数のブレーキを同時に踏んだり、その踏み方を変えることによって、がんに対するもっと強い免疫反応を引き起こすことが今後可能になってくるかもしれない。

予防すべきは慢性炎症
がんの発症には、一般的には生活習慣が大きく関わり、遺伝よりは生活習慣がはるかに大きな役割を占める。つまりがんは生活習慣病と言ってもいいのである。
悪い生活習慣は慢性的な炎症を引き起こし、慢性炎症は発がんのリスクを高める。われわれが長生きをするとともに発がんのリスクが高まるが、これには慢性炎症が大きく関わっている。
がんにならなくても、慢性炎症は、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー病などの現代人のほぼすべての病気の根底に存在し、発症のリスクを増やし、病気を悪化させる。
従って、予防すべきは慢性炎症である。
この本が、毎日を元気で過ごしたいと考えている人たちのお役に立つことができれば、著者としては望外の喜びである。
『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』最新免疫学でわかった、現代人をむしばむ「万病のもと」 サイレント・キラー=「慢性炎症」!