<ネオ東京>のシンボルの建設現場に密着
<ネオ東京>のシンボルとして期待されている2つの建物を取材することができた。水泳会場となる「アクアティクスセンター」と、バレーボール会場となる「有明アリーナ」。いずれも災害対策と省エネを極限まで追求した巨大建築。どちらも、巨大屋根の取り付け工事が最大の難所だ。

「アクアティクスセンター」では、7000トンもの巨大屋根を、34mの高さまで一気にワイヤーで吊り上げる特殊な「リフトアップ工法」に挑んでいた。担当する大林組が、かつてスカイツリー建設の際にも駆使した、高い技術力を持つ日本でしか実現できないハイレベルの工事だ。
「有明アリーナ」では、高層ビル20棟分にも相当する巨大な屋根の鉄骨を、横にスライドさせて完成させていく、世界に類を見ない工事に挑んでいた。

東京ドームや名古屋ドームなど、特徴的な屋根を持つ建築物をあまた作ってきた竹中工務店にとっても、この工事は困難を極める。現場にはエース中のエースを投入し、この難工事を乗りきろうとしている。
実はこの2つの工事現場を撮影できたのは、かなり異例のことだ。これまで世界中で行われてきた五輪会場の工事は、セキュリティの面から厳しく制限されている。それが今回、後世へ記録を残すという目的で、撮影許可を得ることが出来たのだ。
番組では、巨大建設現場内の独占映像をふんだんに使いながら、巨大開発の壮大なスペクタクルを、人々の頭脳戦、人間ドラマを織り交ぜながら描いていく。
人間もリボーンできるか
「湾岸マンション対抗、湾岸ピックを開催します!」
今年9月。ベイエリアの一角、豊洲地区にある運動施設で、一風変わった運動会が開かれていた。
参加を許されているのは、ベイエリアのタワーマンションに住む住民だけ。タワーマンションの対抗戦という形で、リレーや綱引きなどの競技を行っていた。

「ベイエリアはまだ歴史が浅いが、僕たちのふるさとにしたい」
「これから成長していく街と共に、自分たちも成長していけたらいい」
参加者たちは満面の笑みを浮かべてこう語る。通常の運動会は、同じ地域やグループの人たちで集まるが、湾岸ピックはまったく違う。ベイエリアにあるタワーマンションの住民たち、という共通点で括られている。江東区や港区、中央区などの行政区を越えて互いに集まり、親睦を深めている。新しい東京を<ネオ東京>と言うならば、彼らはいわば<ネオ東京人>。これまでの東京にはない新しい文化を生み出そうとしている。

ベイエリアのタワーマンションというと、転売目的でマンションを転々とする「空中族」の印象もあったが、ここに来ている人たちは、これまで文化が無かった土地を、自分たちのふるさとにしたいという心意気を持っているようだった。街が変われば、そこに暮らす人の心も変わる。それが都市と人間の関係なのだろう。