改元、参院選、そして増税と、社会が大きく動く2019年。今週の週刊現代では「投資の神様」ジム・ロジャーズ氏のインタビューを掲載。日本経済に警鐘を鳴らす。
クレイジーな政策
ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを共同設立し、「投資の神様」として市場に君臨するジム・ロジャーズ氏(76歳)。シンガポールに居を移したいまも、その一挙手一投足に世界中の投資家が注目している。
そんなロジャーズ氏が本誌の単独インタビューに応じた。
正直に話しますと、私は日本の株を1ヵ月前にすべて売りました。安倍首相は株価を上げるためにいろいろと努力をしていると感じますが、結局バブル期の最高値(3万8957円)の6割に達するのが精いっぱいでした。
私は日本の経済政策の限界を感じ、株価はこれ以上伸びないと判断したわけです。
にもかかわらず、安倍首相は10月の消費増税を断行しようとしている。5%から8%に上がったときもクレイジーな政策だと私は思いましたが、まだ無駄な橋や道路を作り続けるために、税収を上げようとしているのは信じられません。
おまけに、日本には大きな問題があります。それは、先進国最悪レベルで債務が増大し続けている一方で、人口減少に歯止めがかからないことです。人口が増えなければ国の成長は望めません。
つまり、めざましい経済成長を遂げ、私も積極的に投資していた'60~'70年代の日本とは真逆の状況に陥っているのです。政府は事実上の移民政策についてようやく動き出しましたが、受け入れたくないのが本音でしょう。
本来日本がすべきなのは、財政赤字の削減と減税です。赤字大国の中国は債務を削減しようと手を打ちはじめましたが、私は正しい判断だと思います。
とにかく、コストカットをすすめて国の借金を減らしつつ、減税で消費を促していかないと、やがて財政破綻を招くことになります。
危機的な状況にあるのは、日本だけではありません。2019年の世界経済には懸念すべきことが多くあり、それが日本経済に消費増税とダブルパンチを与えるかもしれません。順を追って説明しましょう。