1か月「5万円」積み立てよう
積立投資を始めるとして、実際問題、いくらから始めればよいでしょうか。

これは非常に重要な問題であるのと同時に、人によって金額はまちまちです。
毎月得ている収入に対して、生活費などさまざまな支出があり、その差し引きで「このくらいなら積み立てられるかな」と、おおよその金額を計算するわけですが、収入にしても支出にしても、これまた人によってまちまちですから、積立額が人によって異なるのは、当たり前のことです。
ただ、ひとつだけ言えるのは、「まずは手始めに」などと言って、100円、1000円といった資金で積立投資を始めても、資産形成にならないということは、声を大にして申し上げたいところです。
最近、多くのネット証券会社が月100円で投資信託の積立ができるという仕組みをつくり、メディアでも取り上げられています。確かに、これまで全く投資をしたことがなくて損をするのが怖いという人には、100円という少額資金での積立は、それなりに魅力に見えるのだと思います。100円が半分になったとしても、損失額はせいぜい50円ですから。
でも、月々100円の積立が、どれほどの経済効果を個々人にもたらすのかというと、ほとんど何のメリットも得られないでしょう。
毎月100円ずつ30年間積み立てた結果、元本部分がいくらになるのかというと、3万6000円です。30年かけて3万6000円。月1000円の積立でも、元本部分は36万円にしかなりません。
もちろん、100円積立が投資に対するハードルを大きく下げてくれるのは事実です。投資といえば、最低でも100万円くらいの資金がなければできないというのが、一昔前の考え方でしたから、その当時に比べれば、投資のハードルは確かに大きく下がったと思います。
では、どのくらいの資金で積み立てていけばよいのでしょうか。
私は、最低でも5万円は積み立ててほしいと思っています。もし、40歳で資産形成の重要性に気づき、そこから定年を迎えるまでの25年間、毎月5万円ずつ積み立てた場合、元本部分の蓄積は1500万円です。もし、年平均5%の運用利回りで25年間積み立てた場合の元利合計額は、2977万円です。
運用利回りを保守的に見積もって、年平均3%だとしたら、25年後の元利合計金額は2230万円です。2230万円だと、何となく少なく思えますが、定年時に退職金が1000万円出れば、合計で3230万円です。