そもそも経費とは何だろう?
「マネー現代」読者の皆さん、はじめまして。税理士の大河内薫です。
本日2月18日から、皆さんが大嫌いな確定申告の受付がスタートします。税理士業務を10年以上やっていますが、いまだに「確定申告大好きです!」という方に出会ったことがありません。まあ、当たり前か(笑)
かくいう僕も、確定申告はめんどくさいと思っています。できることなら誰かにやってほしい……。ただし、めんどくさいだけで、何をやれば良いかその中身はわかっています。ゴールまでの道のりは見えているので、気持ちは楽です。
税理士以外の皆さんは、めんどくさいに加えて莫大な不安を抱えています。
「何をすれば良いかわからない、何が答えかもわからない」
これです。これが確定申告に背を向けて、大嫌いになる要因です。もっと具体的にいうと、
「とりあえず領収書は保存してあるけど、どこまでが経費かわからない」
個人の確定申告における一番の悩みの種は、経費です。何がどこまで経費になるのかについて、本当に皆さん悩んでいます。しかも明確な答えがないままに、なんとなく確定申告をしている方がとても多い。
いわゆる「経費になるかのボーダーライン」は、確定申告をする方全員の悩みですが、そもそも経費とは何なのでしょうか。確定申告で経費をたくさん計上すると、何が起きるのでしょうか。
確定申告における売上はわかりやすいです。あなたが仕事をして受け取ったお金は、全て売上ですね。実に単純明快。
しかし、経費はわかりにくい。というか判断しづらい。個人で生きていく上で、プライベートのお金も、事業のお金も、同じ財布から出ていきます。財布から出ていくお金が全て経費になるわけではありません。
100%仕事のためだけの支出はわかりやすいですが……、「なんとなく仕事に関係するモノ」も経費にしたいですよね?
安心してください。あなただけではありません。皆さんそう思っています。絶対に思っています(笑) だから判断が、どんどん複雑になっていく。
「仕事と関係があるものが経費」ということは、みなさんわかっています。じゃあ、仕事と関係があるってどこまでを言うの? って話です。完璧な答えはありませんが、今日はそのボーダーラインのお話をします。
念の為、経費を計上すると何が起きるかも話しておきましょう。
ものすごくザックリと解説すると、売上から経費を差し引いた残額、いわゆる利益に対して税金がかかります。つまり、利益が減ればと税金が減るし、経費が増えれば利益が減ります。
ズバリ、経費が増えると税金が減るのです。だから、あなたも僕も、法的に許されることなら1円でも多く経費にしたいわけです。だから、大いに悩むわけです。
「これは何費ですか?」より「これは経費ですか?」
経費によくある勘違いがあります。自分の支出を、法律が用意した「〜費」に分類できれば、必ず経費として認められると思っている人が結構います。つまり、経費は白黒ハッキリとわかるもので、経費として認められるか否かの答えは1つであると。
それは全くの誤解で、そもそも法律は「〜費」を用意していません。そして、経費は白黒どころかほとんどグレーです(笑) 漠然とイメージしてください。モデルさんは美容代が認められそうですけど、税理士は認められなさそうですよね?
あなたが行っている仕事、置かれた環境で結論は変わります。だから経費の扱いは難しい。