2019.03.12
# Amazon

「アマゾンの商品を安く買えます…」に隠された恐ろしい真実

アマゾン急成長が生んだ「死角」
林部 健二 プロフィール

マネロンに利用される可能性も…?

どうしても現金が必要になった時、多重債務者は違法な手段に手を染めてしまうこともある。そのひとつが、クレジットカードの現金化だ。借り入れのためのキャッシング枠は使えないが、通常の買い物に使用できるショッピング枠は残っていることがある。

そして、その枠を現金化をしてくれる業者も存在している。クレジットカード現金化を謳う看板や広告を目にしたことがある方は多いかもしれない。

代表的なのは、ショッピング枠で換金率の良い商品を購入させ、それを業者が買い取るという手法だ。例えば、高級ブランドショップで30万円のハンドバッグをクレジットカードで購入させ、業者はそれを20万円の現金で買い取る。利用者は10万円という多額の損をするが、すぐに現金がほしいという誘惑に勝てずに20万円を手にしてしまう。

利用者も損をすることは分かっているのだ。しかし、分かっていながらも手を出してしまう。それだけ切迫しているか、もはや自分をコントロールできない状態なのである。

話をパースに戻そう。パースはアマゾンギフト券を換金するという形になっているが、実質はクレジットカードの現金化と変わらない。

なぜなら、アマゾンギフト券はクレジットカードでも購入することが可能で、購入の対価として得られるビットコインは仮想通貨取引所で現金に変えることができるからだ。

 

もちろん、純粋にアマゾンギフト券をビットコインに換金したいユーザーがいることは否定しない。何かしらの報酬あるいは贈り物としてアマゾンギフト券をもらいながら、使い道に困っているユーザーもいるだろう。

それでも、アマゾンは日用品から家電まで、なんでも揃っていると言っても過言ではないほどの品揃えを実現している。アマゾンギフト券で購入するものがないというシーンがあるのだろうか。

百歩譲ってそうだとして、通常よりも高額な手数料を支払ってまで、パースでビットコインを購入したいユーザーがどれだけいるのだろうか。

〔photo〕gettyimages

実際のところは、パースで換金したビットコインを、さらに自国通貨に換金して現金化を図っているユーザーは少なくないはずだ。そこには、そうまでして現金が必要な多重債務者や、お金に苦労している人間が含まれている可能性が非常に高い。

また、犯罪者がマネーロンダリングのために利用するケースもあるだろう。使われるのは盗まれたクレジットカード情報だ。

店舗でクレジットカードを使う場合は実物のカードが必要となるが、ネット決済の場合はカード番号やセキュリティコード、住所などの個人情報が分かっていれば使用することができる。何かしらの手段で盗難に成功したクレジットカード情報で、アマゾンギフト券を大量に購入してビットコインを獲得。それを現金化できれば、犯罪者にとってはメリットになる。

実は、ここ日本にもパースと類似のサービスは存在している。

SPONSORED