「誰にも選ばれなかった
人生より、幸せじゃない?」
ドラマの中で、〝百合ちゃん〞は、(契約結婚ということを隠して)結婚を決めたみくりに対し、「(結婚することは)誰にも選ばれなかった人生より、幸せじゃない?」と口にする。台本で、その台詞を目にしたとき、ゆり子さんは、「このセリフを言うのは、ちょっと辛いなぁ」と思ったという。
「監督からは、『笑顔で、サラッと言ってほしいんです』と言われて、正直ちょっと痛いところを突かれた感じはありましたけど(苦笑)、でも本当に、その通りだなぁと思います」
過去に、結婚を考えたタイミングは何度かあった。でも、結局踏み切らなかった。仕事もできて、優雅で、美人で、ユーモラスで。ある意味非の打ちどころのなさそうな、〝高嶺の花〞だから、男が尻込みするのか。それとも、彼女がパートナーに求めるレベルが高いのだろうか。
あらためて、ゆり子さんに〝パートナーに求める条件は?〞と訊いてみると、「人それぞれ、魅力を感じるところは違うので、条件と言うのは特にないです」と答える。
「それに私、簡単に人を好きにならないんです。〝いいなぁ〞とか、〝素敵だなぁ〞と思う人はいても、恋仲になるには時間がかかる。〝とりあえず付き合ってみよう〞みたいな考えをしたことがないんですね。あとは、一度付き合うと長い、っていうのもあります。相手を信用してよかれと思ってやっていることが、結果的に相手を甘やかすことになってしまったり……(苦笑)」
水泳の話や芝居の話に関しては、あんなにハキハキ話していたゆり子さんが、〝恋バナ〞では途端にしどろもどろになる。そのあたり、女性から見てもすごく可愛らしい。ではたとえば、家事一切を負担してくれるパートナーを、ゆり子さんが養うというパターンはアリなのだろうか。
「う〜ん……私は、男性はやはり外で働いて自分の持ち場で生き生きとしてほしいと思うので、それはないかなぁ。理想は、一緒に働きながら、家事も分担してくれる人ですね」
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PROFILE
石田ゆり子
1969年生まれ。東京都出身。’88年、テレビドラマ『海の群星』(NHK)でデビュー。以後、ドラマ・映画・舞台・執筆活動など多岐にわたり活躍する。映画『北の零年』(05年)で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作は、映画「悼む人」(15年)、『僕だけがいない街』(16年)、ドラマ『MOZU』(14年/TBS)、『コントレール~罪と恋~』(16年 / NHK)。映画『もののけ姫』(97年)、『コクリコ坂から』(11年)などスタジオジブリ作品では声優も務める。2016年には、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)に出演した。
●情報は、FRaU2016年12月号発売時点のものです。
Photos:Takashi Honma Styling:Miho Okabe Hair&Make-up:Mizue Okano Interview:Yoko Kikuchi