2019.03.30
# 世代 # 本

なぜ「昭和33年度生まれ」は、こんなに多士済々なんだろうか

百恵ちゃん、原監督に、あのマイケルも
四家 秀治 プロフィール

ずらっと並ぶヒット漫画家

高校に入る頃になると、映画『愛と誠』に主演し、役名がそのまま芸名になった早乙女愛、テレビドラマ化された『愛と誠』(テレビ東京)では池上季実子がヒロインとなるなど、同級生女優陣も目立ってくる。原田美枝子もこの時期にデビューし、1976年の映画『青春の殺人者』での水谷豊との共演から人気が急上昇した。比較的早く芸能界を引退した早乙女愛は2010年に亡くなっている。

再度、歌手に目を転じると「スター誕生!」出身の岩崎宏美が1975年にデビューしている。デビュー当時から歌唱力が高く評価されていた彼女は、同級生の中で最も息の長い歌手といっていいだろう。

他に、「スタ誕」出身では決勝大会に山口百恵とともに出場し、不合格だったマッハ文朱が、1974年に全日本女子プロレス入り。女子プロレスを明るく華やかなものに変革した。その後、女子プロレス界でスターになったことで、芸能界デビューするという壮快な人生を歩んでいる。

高校卒業後の1977年秋になると、“早熟の天才”原田真二が『てぃーんず ぶるーす』『キャンディ』『シャドーボクサー』とデビューから「3曲同時にトップ20入り」という快挙を成し遂げた。ただ、彼は4曲目『タイム・トラベル』のヒット以降、鳴りを潜めたまま今に至っているのが、ちょっと残念である。

同じ頃、週刊漫画誌世代の申し子というべき男がデビューする。新潟商業を出て上京した小林まことである。週刊少年マガジンに掲載された「格闘三兄弟」は衝撃的な面白さだった。この作品は連載「1・2の三四郎」となり大ヒット。その後も、「what's Michael?」「柔道部物語」など次々とヒットを飛ばした。

格闘技好きで格闘技漫画で一世を風靡した小林だか、最初の受賞歴は、少女漫画誌「りぼん」の努力賞だった

週刊漫画誌の創刊の年に生まれた世代だけに、他にもヒット漫画家は多い。『キャッツ♥︎アイ』『シティーハンター』の北条司、映画化もされて大ヒットした『クレヨンしんちゃん』の臼井儀人(2009年没)、『ONE PIECE』の尾田栄一郎の師匠で、 『シェイアップ乱』『ジャングルの王者ターちゃん♡』の徳弘正也、『少年は荒野をめざす』『ジュリエットの卵』の吉野朔美、『MARS』『チェザーレ 破壊の創造者』の惣領冬実、『自虐の詩』『機械仕掛けの愛』の業田良家、『エルフ・17』『SABER CATS』の山本貴嗣、『あいしてる』『まんが新白河原人 ウーパ!』の守村大、『ハイスクール!奇面組』の新沢基栄、『傷だらけの天使たち』の喜国雅彦、『真夜中の弥次さん喜多さん』のしりあがり寿、そして、『代紋TAKE2』の漫画原作者・木内一雅と、綺羅星のごとくヒットメーカーが並ぶ。

1980年には、宮崎美子が、ミノルタの“脱いでいく”CMでデビュー。茶の間の度肝を抜いた。その後、女優として活躍し、現在はクイズ番組や教養番組にはひっぱりだこで、同学年のタレントの中では、今最もテレビでの露出度が高いのではないだろうか。

デビュー当時は熊本大学の現役女子大生。清廉なキャラクターが還暦となった今でも変わらないのが驚異的だ

80年代前半には、ミスユニバースから女優として華麗に成功した萬田久子、安全地帯でその名を知らしめ、俳優としても強烈な個性を発揮し続けている玉置浩二、同じくシンガー出身だが、こちらは俳優に専念してビッグになった陣内孝則などが、スターとなって羽ばたいている。

女子アナブーム以前の2人の女性キャスター

同級生の中で、現役で大学入試を突破した者は、1981年4月に社会人となった。まだパワハラなんて言葉が影も形もない時代、若手社員はしごきにしごかれていた。そんな頃、脚光を浴びたのが、2人の女性キャスターだ。

1985年、テレビ朝日系列の「ニュースステーション」のサブキャスターに抜擢された小宮悦子、そして、フリーのレポーターからキャスターとなり、長年「FNNスーパーニュース」(フジテレビ系列)のメインキャスターを務めた安藤優子。まだ、女子アナブーム以前、女性アナウンサーがアイドル扱いされていない時代だった。

テレビ朝日の看板だった小宮悦子。「ニュースステーション」では、久米宏と13年にわたってコンビを組んだ

『ベッドタイムアイズ』で1985年に実質的なデビューを飾った山田詠美は、1987年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞を受賞。近年は芥川賞選考委員の一人としても活躍している。

鴻上尚史は、1983年からオールナイトニッポンのパーソナリティで人気になったが、元々は劇団「第三舞台」を結成した劇作家である。1994年上演の『スナフキンの手紙』で演劇界の芥川賞といわれる岸田國士賞を受賞、近著『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(2017年講談社現代新書)は、特攻の理不尽さを描いた力作ノンフィクションだ。

1982年にダンボール作品で日本グラフィック展大賞受賞以降、先端芸術のトップを走り続けている日比野克彦も同級生。近年はアートプロジェクトのリーダーでもある。

1981年に、はたやまはっちの名で漫画家としてデビューして以来、タフに活躍し続けているのがやくみつるである。野球の4コマ、あるいは1コママンガは彼ならでは。近年は相撲を熱く語るなどコメンテーターとしても存在感たっぷりだ。

タフといえばワハハ本舗の久本雅美もこの頃から目立ち始めた。今やテレビで見ない日はないというほどの活躍ぶりで、今年は正月から京都南座の松竹新喜劇70周年記念公演に客演で出演するなど、還暦を迎え、ますます意気軒高である。

関連記事