部下は「育てる」のか「育つ」のか? HRテクノロジーで考えた答え
人材育成には方程式がある現場の「暗黙知」を「形式知」に変える
ヒトは「育てる」のか「育つ」のか?
この問いに、みなさんはどう答えるだろうか。

社会人経験の長い人は、「努力できる人は勝手に育つもの」と考えるかもれない。一方で新入社員の人は、「優秀な先輩に丁寧に指導してほしい」と思うことだろう。
「マネジメント評価の高い上司は優秀なメンバーを“育てる”」
「成長意欲高く努力できる人は“育つ”」
実際にこんな言葉を耳にすることは多い。いずれかの立場で議論することは可能だと思うが、おそらく多くの方が「育てる」と「育つ」それぞれの実体験があり、明確に答えることが難しい。言い換えると、「育てる側(上司目線)」と「育つ側(部下目線)」で主語が異なるため、シンプルに答えることが難しい問いなのだろう。
ただこれを企業目線、または人材育成担当目線で考えれば答えはシンプルだ。“ヒトは「育てる」し「育つ」もの”、つまり、共存するものであると。
一方で、現場で起こっている「育てる」と「育つ」は非常にブラックボックスである。
「誰がどんな上司の下でどんな教育を受け、どんな仕事を通してどんな経験をすると育つのか」
これらは現場の「暗黙知」であることが多く、人材育成担当の人でも分からないことが多いだろう。むしろ逆に、現場と人事の距離のある職場では、人材育成担当の方が現場よりも「育てる」と「育つ」の感覚を分からないことが多いのではないか。
今回は、人材育成の実務に関わる方向けに、現場で起こっている人材育成の「暗黙知」を「形式知」に変えるアプローチについて考えてみたい。具体的には、「育てる」と「育つ」の双方の観点から“ヒトは狙って「育てる」ことで「育つ」”という育成論について考えていく。
「育てる」と「育つ」を紐解くにあたり、HRテクノロジー(主にピープルアナリティクス)の活用も欠かせない。この視点も盛り込んでいきたい。