地銀がこの10年にやっておくべきだった「2つ」のこと
手遅れになる前の最後のチャンスは今!「地銀オワコン化」は10年前に決まっていた
昨今、地方銀行を中心とした地域金融機関の先行きへの不安の声が大きくなってきています。
将来を予測するのは一般的には難しいといわれますが、日本の地銀に関しては実は、何もしなければ現在のような苦境に陥ることはもう10年くらい前から明らかになっていました。
日本では、家計の中で大量の資産を持っているのが退職世代に集中しています。そのため、株式などのリスクが高い資産に投資して長期的に増やすことを目指すより、手堅く銀行預金をするという傾向が強いといえます。その一方で、とくに地方では人口減少が急速に進んでいる中、日本銀行がいくら金融緩和をしても銀行の貸出量は現状維持が精一杯となっています。
これにより、どの地域金融機関も預金量が貸出量を大量に上回る状況で、余った預金は主に日本国債で運用をされています。
メディアではよく、「銀行は国債を買うだけの簡単なお仕事」と揶揄されがちです。でも実は、銀行にとって日本国債で運用を行うのは、事務コストも考慮すると赤字であり、だれも「買いたい」とは思っていません。
赤字になるのは、長引く金融緩和によって日本国債の金利の水準が0%に近づくかたちで低下する一方だからです。
不毛な金利引き下げ競争の末路
地域金融機関はこれまで、国債で運用する金額を抑えるために貸出量を増加させようとしてきましたが、この行動も地銀をさらなる苦境に陥れてきました。
日本全体で「預金ニーズ」のほうが「借入ニーズ」よりも大幅に大きい中で地域金融機関が一斉に貸出量を増加させようとすると、それぞれが貸出の金利を引き下げて借り手にとっての条件をよくすることになります。
しかし地域金融機関が一斉に同じ行動をとると、不毛な金利の引き下げ競争を招き、結果として貸出金利が低下し続けて、地域金融機関は本業の貸出でも全然収益があがらなくなってしまうというものです。
日本の地域金融機関がこういう状況に陥ってしまうことは、冒頭に書いたとおり、10年くらい前からもう明らかになっていました。少なくとも、筆者はちょうど10年前の2009年にそれに気づきました。