4月18日放送の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)で、40歳のクミさんに公開プロポーズを行った人気お笑いコンビ・オードリーの春日俊彰氏。「10年愛を綴った手紙泣ける。こんなプロポーズされたい!」、「10年も一途だった春日が好きになった」とSNSでも祝福のコメントが大多数を占めた。実際、愛にあふれた素晴らしいプロポーズだった。

番組終了後、記者会見が行われ、終盤で、こんな質問が出た。
「気持ちは早いかもしれないですが、お子さんとかっていうのはどうでしょう……」

「もう、そりゃもう欲しいは、もちろん欲しいですけどね……。う~ん……。春日の子のDNAを残さなくちゃいけないっていう使命感みたいな、う~~ん、私の中にはありますけどね。でもそれはお相手との相談というかね、そこはね。急がないと。でもなにぶん私も体力がありますからね」と最後は、ボディビルダーの決めポーズで会場の笑いを誘った。

SNSでは、溢れたモヤモヤするという声

実は、上記の記者会見の発言に対し、SNSでは、「モヤモヤする」という人が続出したのだ。

・結婚10年も待たせといて40から妊活させるって酷じゃないか? と思ってしまった。奥さんの希望でそうなったならまだしも……
・結婚すれば子供ができるわけじゃない。不妊治療している身としてはモヤモヤが拭えない

また、記者の質問を疑問視する声も多かった。
・本人は答えにくそうだった。芸人としてはサービスで答えざる負えない。彼女への配慮は感じられた。

私自身も会見を見ていて、モヤモヤを感じたひとりだった。今回の会見以外でも、「子供のご予定は?」、「もしかしたらできちゃった婚ですか?」と簡単に聞く記者会見にいつもモヤモヤしていた。出産そのものが授かりものであることに加え、これだけ生き方が多様化しているのに、結婚したら子供を産んで当たり前、結婚すれば自然に授かるもの、という雰囲気や質問内容に「これでいいの?」と違和感を持っていた。

そこで、具体的にそういう言葉がナイフのように刺さる人がたくさんいるのだという現実をお伝えしたい。

まずは35歳で結婚し、不妊治療の末に出産をあきらめたA子さん(45歳)だ。

 

「どこも悪くない」といわれたのにできない現実

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35歳で3年間つきあった彼と結婚しました。出産している友人も多かったので、自分も結婚したら妊娠してもいいかな、と思って避妊はしませんでした。交際中は、妊娠しないようにいつも避妊していたので、避妊さえやめればすぐに妊娠できると当時は思っていました。ところが、1年経っても妊娠しない。「でもまだ36歳だし、余裕でしょ」とタカをくくって、婦人科にも行きませんでした。

ところが、次の1年もできない。さすがにちょっと心配になり、ネットや本で情報を収集し、基礎体温をつけてタイミングを合わせるなど、試してみてもできない……。さすがに心配になり、夫と話し合って、不妊治療を行っているクリニックに相談に行きました。

私も夫も検査をしたのですが、ネガティブな要因はありませんでした。ですが、医師からは年齢的にできるだけ早く不妊治療を始めたほうがいいと言われました。通常、不妊治療は排卵日に合わせて行うタイミング法→精子を採取して子宮に注入する人工授精→採卵した卵子に精子をふりかけて受精させて子宮に戻す体外受精→顕微上で採卵した卵子に精子を注入して子宮に戻す顕微受精といった流れがありますが、このときすでに39歳だったので、タイミング法を試してダメたったらすぐに、人工授精に、というプランが組まれました。

3ヵ月タイミング法を試して、上手くいかず、人工授精→体外受精に移りました。でも、これが想像以上に大変で。排卵誘発剤などの薬を投与して、卵子の状態に合わせて治療が進むので、仕事をたびたび休むことに。女性の多い職場ですが、過去に不妊治療で休んだ人がいなかったので、言いにくく「親が入院していて」と言って休んでいました。

でも、何度もトライしても妊娠できないと精神的にも追い詰められてしまう。友達は育児に忙しい時期で、そういう場に身を置くこと自体がつらくなってしまって。

どこも悪くないのに、頑張ってもできないという現実が受け入れられず、41歳まで治療を続けましたが、ある日夫が、“ふたりでちょっとのんびりしようか”って言ってくれて。その言葉になんか救われて、やめることができました。子供を授かることはできませんでした。貯金もびっくりするほど目減りしてしまい、その分働くしかないなと思いつつ、最近やっと子供がいない人生に折り合いが付いてきたところです。

でも、まだ出産をテーマにしたテレビ番組とかあると、目を背けてしまう自分がいるので、もう少し時間がかかるかなと思っています。