サイエンスも社会問題も。カギを握るのが「深海」
生命起源、地球外生命、巨大地震、メタンハイドレート、レアアース、海洋酸性化、生態系、生物多様性、海洋プラスチック……。
いずれも重要なサイエンスや社会的な課題のキーワードです。これらは、いずれも「深海」と深く結びついています。むしろ、「深海」を理解しないと、これらのサイエンスや社会的課題の解決は進みません。

深海で繰り広げられる生物(ホラアナゴ類 vs サメハダホオズキイカ類)の格闘 ©JAMSTEC
といわれても、いまいちピンとこないなあと思われる方もたくさんおられるでしょう。私たちは、さまざまな手段を通じて「深海」の面白さや重要さを広く伝えようとしています。
そのような中で、2013年と2017年に、東京の国立科学博物館で特別展「深海」を開催することができました。
「深海」をテーマにした大規模な展示会は、私たちもこれまで開いたことがありませんでした。「お客さん、来てくれるかなあ……」と不安を抱えつつも、ふたを開けたら大盛況。休日などは会場内は満員電車のようになり、入場整理券まで配布される事態になりました。

2017年国立科学博物館 特別展「深海2017」の展示会場
残念ながら、展示会は期間限定です。そこで私たちは、多くの方に常に「深海」を感じていただけるように、特別展後の最新研究も加味して、深海のホットな話題を取り上げた本を書きました(『深海──極限の世界 生命と地球の謎に迫る』)。