少子高齢化の中で1人っ子同士の結婚は珍しく無く、地方を中心とした空家率の上昇にも大いに影響を与えているはずだ。
さらには、騒がれているカボチャの馬車やレオパレスなど、相続性対策や投資目的で建設されたシェアハウスやアパートなどの物件も、少子化の中で難しい局面を迎える。
人口減少により入居率の維持がかなり難しくなるだけでは無く、アパートなどは10年程度で外観がかなり汚れるため、リフォーム費用が結構必要なのだが、アパート経営者たちがその点を意識しているとは思えない。
10年を過ぎたアパートの入居率はかなり低くなるから、問題の深刻化はブームが終わってから10年以内にやってくるといえる。
これ以上金利は下がらない
不動産にとって不幸なことは、これ以上金利が下がる見込みがないことである。もちろんすぐに金利が上がる可能性はそれほど高くないことは、当サイト4月26日の記事「『バブル』は続くよどこまでも…もう誰も金利を上げることができない」で述べたとおりだが、これ以上金利が下がることは物理的に考えにくく、可能性があるのは上がる方だけである。そして、もし金利が上昇するとすれば徐々にでは無く「暴騰」という言葉がふさわしいほどの恐ろしいものになるはずである。
詳しい理論の説明は省くが、「プールの水を一杯にしてあふれさせる=金利を下げる」ためには、長時間水を出しっぱなしにしなければならないが、「プールへの水の供給を止めるには蛇口をひねればよい」と説明すれば、直感的にわかりやすいかもしれない。
株式を信用(借金をして投資)で行う人々は、全体から見ればごく一部だが、不動産は一般の堅実なサラリーマンでさえ当たり前のように借金をして購入する。また、商業施設なども借金して建設するのが当然である。
例えば、株式の信用取引は証拠金の約3倍まで取引できるのでレバレッジはおおむね「3倍」である。それに対して、マンションを頭金5%で買ったとしたら、残りの95%は借金だからレバレッジは20倍(頭金と総額の関係)である。
FX(外国為替証拠金取引)でのレバレッジで20倍というのは、かなり投機的と言ってよいし、株式の信用取引と比べたらとてつもない信用リスクを背負っていることになる。
不動産業者や手慣れた投資家ならこのリスクを理解して投資しているはずだが、自宅を購入する人々はほとんど意識していないであろう。住宅ローンの大部分が、目先の金利の安い変動型であることからもその事実が推測できる。
人間は不意打ちに弱い。思ってもいなかったリスクを目の前につきつけられた時の、一般の住宅購入者の反応を考えると恐ろしい。