「ただの口内炎」「痰やせき」それはガンの兆候かもしれない

人間は、口とのどから衰える
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人間は、口とのどから衰える

食道がんの初期は無症状のため、気付きにくいが、進行すると食べ物を飲み込むときにのどがしみたり、チクチクする感じや、のどや胸がつかえた感じがするなどの自覚症状が出始める。

「注意したいのは、のどのつかえ感です。水分は通りますが、固形物が通過しにくくなってくると要注意です。がんが進行するにつれ食道の内径が狭くなるので、よくかんで飲み込んでも『つかえ感』があり、嘔吐することもあります」(東海大学医学部付属病院副院長・頭頸部腫瘍センター長の大上研二氏)

 

日本人の食道がんは、食道中央付近の粘膜にできる「扁平上皮がん」が90%を占める。一方で、欧米人は胃の近くの食道下部にできやすい「腺がん」が半数以上となる。この腺がんが、いま日本人にも増え始めている。

「腺がんの原因は、胃酸が食道に逆流する『逆流性食道炎』と考えられています。何度も胃酸が逆流することで食道の粘膜が傷つき、そこからがんが発生するのです。

日本も食生活の欧米化にともなって、今後、ますます増加することが予測されています。

逆流性食道炎の多くは、2週間ほどの内服で症状が改善します。薬を飲んでも症状が良くならない場合は、がんを含めた別の疾患の可能性も疑ったほうがいいでしょう」(東京クリニック・総合診療科部長の稲葉佑介氏)

口やのどのがんは、胃がんや大腸がんに比べ、軽視されがちだが、その分、発見が遅れて命にかかわる確率も高くなる。

口とのど、食道はつながっている。口内炎、たんとせき、そして食道へのダメージは、同時多発的にがんを招くリスクもある。

がん自体で命を落とさずとも、嚥下機能が落ち、栄養を吸収することができなくなれば、当然、体力も落ちていく。誤嚥性肺炎を起こして亡くなる高齢者も少なくない。

人間は口とのどから衰える――。それを認識せず、多くの人はがんになっていく。「気付いたときには遅かった」とならないためにも、のどにまつわる症状を甘く見ないほうがいい。

「週刊現代」2019年5月25日号より

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