高校時代はさらに「大きく」なっていました。直立すると内膝の肉がぶつかりあってしっかり足を閉じて立てないほど太っていました。部活中に1時間ほど立ったままでいると足が痺れてきて、あっという間に限界を迎える状態でした。そしてついにその頃、部活内で「デブキャラ」に認定されてしまいました。
走るたびに「お前、地面揺らすなよ~」と言わたり、「俺より足太くね?」とからかわれたり。
そんなデブキャラ時代を経て、東京の大学に合格し、地方から上京した私は、周りのキラキラした世界に衝撃を受けます。歩く人のおしゃれさに心惹かれ、素敵な女の子にもたくさん出会い、「痩せて綺麗になりたいな」と思うようになりました。
ところが。当初は祖母と一緒に暮らしていたため、祖母のつくる美味しいご飯と家に常備してあるたくさんのお菓子にすんなり負けるわけです。そのダブルパンチで、半年間であっという間に5kgも太ってしまいます。夏休み明けに久しぶりに会った同級生の可愛い女の子に「あれ? なんか大きくなった?」と言われる終い…。
そんなデブ最前線のピークを迎えた19歳ころ、スパイスカレーに出会います。
祖母との同居生活を終え、大好きな姉と2人暮らしすることになったものの、姉は夕飯を外食で済ませてしまうことが多く、一緒に晩ご飯を食べることができずにいたのです。
姉と一緒にご飯を食べたい私は、姉が「インドカレー好き」ということを知って、スパイスからカレーを作るようになります。そのことで私の身体にも転機が訪れるのです。
なぜスパイスカレーだったのか
実はスパイスカレーはひとり暮らしの大学生が毎日でも作れるくらい、かんたんでお金がかかりません。でも、日本にはあまりなじみのない「スパイス」を持ち出されると、なんだか難しそうというイメージから敬遠されています。
確かにどこでどんなスパイスを買えばいいか分からないし、どう調合すればいいか勉強しなきゃいけなさそうだし、そもそも、スパイスカレーのつくり方がわからないし…といくつもの高いハードルがあるように見えて、面倒で大変そうなイメージがあります。でもよくよく見てみると、3種類のスパイスさえあれば、色んなカレーが作れてしまいます。

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初めて作ったときは数種類の粉からあっという間にスパイスカレーができたこと、それが美味しくて、感動したことを覚えています。いままで嗅いだことのない刺激的な香りがたまらず、特別な満足感がありました。
スパイスカレーの「かんたん」「おいしい」「満腹」を自宅で体験し、刺激的な味わいに完全に魅了され、どんどんはまっていき、数々のレシピ本を読んで日々作るようになっていきました。
「カレーってカロリーが高いし、食後の感覚も重いから、毎日食べていたら太りそう!」と思われがちです。
確かに1日に必要な消費カロリー以上の量を食べれば当然太ります。でもだからと言って、極端にカロリーの低いものばかりを食べ続けたり、ひとつの食材に偏った食べ方をしていても、それは長続きせず、痩せたとしてもかえってリバウンドをしてしまう可能性が高くなります。必要な栄養素が足りず健康を損なう恐れもあるのです。
食欲を満たすには「香り」「刺激」「色合い」が重要と言われています。つまり単に食欲を満たすためだけに量を食べても、「嗅覚」「味覚」「視覚」などの五感によって脳を刺激しない限りは満腹にはならず、かつての私のように「食べても食べても満たされない」といった状態がずっと続くことになります。