2019.06.19
# 日本経済 # 賃金

最低賃金の「早期1000円引き上げ」で、失業と倒産が激増する…!

まずコンビニがバタバタ倒れる
中原 圭介 プロフィール

成長戦略をサボったツケ

最低賃金の引き上げが目的化すると、廃業をしなければならない、あるいは、従業員を解雇しなければならない経営者が増えていくことになります。その時に失業に追い込まれるのは、低賃金ゆえに仕事にありつける、特別なスキルを持たない人々。要するに、最低賃金の行き過ぎた引き上げは、もっとも社会の助けが必要な人々を、さらなる窮地に陥らせることになります。

 

中小零細企業の淘汰を促すというのであれば、それによって失われる雇用が容易に他の雇用に移動できる環境を整備しておかなければなりません。淘汰される企業や産業の代わりに、成長戦略によって既得権益を打ちこわし、生産性の高い雇用や産業を育成しておかなければならなかったのです。ところが、失業者の新たな受け皿となる雇用や産業が育っていない現状では、10年後の失業率は直近の2.4%(2019年4月)から5.0%へと2倍超に跳ね上がっていても不思議ではないでしょう。

〔photo〕gettyimages

安倍首相はかつて成長戦略に関して「いかなる既得権益も私のドリルから無傷でいられない」と規制改革を約束しましたが、たとえば農業の生産性改革の1丁目1番地である「企業による農地所有や農業生産法人への出資比率の50%超え」といった改革は未だに成し遂げられていません。それどころか、様々な分野で無傷の既得権益がたくさん残っています。そういった意味では、私がアベノミクスのメニューでは唯一賛成していた成長戦略が掛け声倒れとなり、6年以上を無駄に費やしたということは残念でなりません。

さらに驚くべきことは、最低賃金の引き上げ幅を拡大していけば、地方の人々の所得を押し上げ、消費も拡大するというシナリオを政府が描いているということです。国民が消費を抑え貯蓄に励んでいるのは、少子高齢化に伴う人口減少、社会保障不安から将来に対する備えが強く意識されているからです。日本が構造的な問題を解決することなく、最低賃金の引き上げだけで消費が拡大するという未来は、幻想にすぎないのです。

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