2019.06.20
# 日本株

ヤフーに電通、あなたの会社も? 増加する「持ち株会社」の功罪を問う

想像以上にドライなその実情
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

なぜ持ち株会社が増えているのか?

ではなぜ、多くの企業が持ち株会社になろうとするのか。

持ち株会社制への移行理由として表向きよく挙げられるのは、子会社での「スピーディーな意思決定」だ。責任をはっきりさせることで、子会社に独自の判断でなるべく自由に動いてもらおうということだ。

Photo by iStock

しかしその一方で、どの持ち株会社の定款にも明記されているのが子会社を管理して「グループ全体の企業価値を高める」ことだ。特に金融持株会社では、銀行法上も「グループ全体」の経営管理をすることが義務づけられている。

つまり、持ち株会社制には、一方では「子がなるべく自由になるように」と謳っておきながら、他方では「親の管理を強化する」という、自立とコントロールの矛盾した構図があるのだ。

 

より企業のホンネに近いところを探ると、持ち株会社の大きなメリットはリスク分散にある。持ち株会社は親会社を頭に「タコの足」のように多くの子会社が並列に並ぶ構造だが、あけすけに言ってしまえば、タコ足型の組織の方が、問題が起きた時にいつでも足を切り離すことで本体が生き延びる確率が高まる。

例えば子会社が事業拡大のために資金集めをしても、持ち株会社は子会社の借金を保証する必要はない。仮にその子会社が倒産してしまった場合、親会社は子会社に投資した分の資金を減損処理することにはなるものの、その債務までは負わない。法的には別会社だから、債務保証でもしない限り、子会社の債権者が親会社を追いかけてくることはない。

また持ち株会社は技術やブランド、特許などを守る上でも都合が良い

例えばライバル企業などが優れた技術を持つ子会社に敵対的買収をかけようとしても、子会社が株式を上場していなければ市場で株を買い占めようがない。

さらにブランドなどは持ち株会社の資産としておき、商品の製造や流通販売は子会社を別に作って切り離しておくのも手だ。仮に製品に大きな不都合が見つかって訴訟や販売停止となっても、事業破綻のリスクを負うのは製造子会社や販売子会社の方であり、親会社がブランドなどを失うリスクは大幅に軽減される。

SPONSORED