2019.06.20
# 日本株

ヤフーに電通、あなたの会社も? 増加する「持ち株会社」の功罪を問う

想像以上にドライなその実情
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

市場からのしっぺ返しも

一方、日本の持ち株会社のルーツには、戦前の「財閥」がある(ただし、財閥が特定の「ファミリー」や同族による株支配だった点では、現在の持ち株会社とは異なる)。

「財閥解体」によって禁止されていた純粋持株会社が1997年12月の独占禁止法改正で解禁。その翌年の「日本版ビッグバン」で、傘下に証券、保険やクレジット会社を持つ「メガバンク」が登場したが、メガバンクは金融持ち株会社だ。

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熾烈な国際競争の中で持ち株会社制を選択する企業は多い。競争相手や技術、商品サイクルなどが目まぐるしく変化する経営環境の下、変化への対応力では持ち株会社の方が断然身動きが取りやすい。これまた身も蓋もない言い方をすれば、「タコ」のような形態の持ち株会社は、その「足」を新しい靴を履き替えるように環境に合わせてどんどん変えていくことができるからだ。

企業買収をするにしても、買収した企業を持ち株会社の下にくっつけるだけならば、買収先企業のオフィスを移転したり社名を変える必要すらなく、統合に伴うエネルギーや手間隙が省ける。コアではない事業を切り離す時も、子会社ごとバッサリ売却することが可能だ。

 

ただし、これが極端になると持ち株会社はどんどん「投資会社化」していき、腰を落ち着けて事業を育てる長期的視点を失いがちだ。また持ち株会社の組織が複雑になると、市場がその価値をよく理解できなくなってしまう。

「コングロマリット・ディスカウント」と呼ばれるが、相互に関連の薄い子会社を多数抱えているような企業の場合、グループ全体の市場評価が子会社の価値の合計より低くなりがちだ。

中に何が入っているんだか、どんなリスクが隠されてるんだか、とにかくよく分からないため、1+1+1が3ではなく、2や1と割引されてしまう。米国ではGE、日本ではソフトバンクや楽天、日立などがよく例に挙げられる。

近年では、シチズンやコニカミノルタなどのように持ち株会社制を解消して、本業への集中に逆戻りする企業も見られる。持ち株会社制は全ての企業にとって最適な選択だというわけではない。

トレンドに乗るだけが正解ではなさそうだ。

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