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スケールの大きさに体が震えた…この世のものと思えぬ月山の景色
2019.06.23

日本の聖地出羽三山④地球を感じる

スケールの大きさに体が震えた…この世のものと思えぬ月山の景色

スケールの大きさに体が震えた…この世のものと思えぬ月山の景色 月山頂上から見る日本海に沈む夕日 写真集『日月巡礼 出羽三山』より 撮影/稲田美織 画像ギャラリーを見る→

出羽三山はまさに「祈りの山」

眼下に広がる雲海の隙間からは雪渓や頂上付近に咲き乱れるお花畑も垣間見られて、その光景は、この世のものとは思えないものでした。昔の人が、虹の中に浮かぶ自分の姿を、神さまや仏さまと思ったのは、とても自然なことだと思いました。私はチベットに4回撮影に行ったことがありますが、そこで描かれる曼荼羅の周りにも虹が描かれていて、きっと彼らも、そのブロッケン現象を見たのではないかと思いました。ブロッケン現象は自分のものしか見えず、まるで修行が自分自身でしかできないことと、同じような気がしました。

月山にいると、光、風、水の音、そしてあらゆる生命の声、その大いなる自然の一部となることで、普段は退化している感覚がどんどん研ぎ澄まされ、本来の自分に戻れるような気がします。山に伏すと書いて、山伏と書きますが、自然に寄り添い、畏敬の念を持ちながら生きる人間の本来の姿だと感じました。 

出羽三山の冬は厳しいですが、その中で色々なものが生まれているのだと思いました。雪に覆われた大地の中、堅い木の幹の中には、芽や美しい花がゆっくりと育っています。その冬の間に、この地では信仰、芸術、文化や感性もじっくり育っていったのだと感じました。厳しい冬があるから、美しい春がやってくるのです。四季の巡りは、豊かな日本の感性を育ててゆくのだと思いました。このように出羽三山の四季の移り変わりは鮮明です。

羽黒山への新しい鳥居立柱祭 写真集『日月巡礼 出羽三山』より 撮影/稲田美織

太陽の働きを象徴とする天照大御神をおまつりする伊勢神宮、そしてその弟にあたる月読命を主祭神とする月山。その両方に導かれ、撮影させていただいたことの喜びは人生において、かえがたい宝物です。四季を通じて様々な姿を見せてくれる月山の美しさは、私に沢山のことを教えてくれました。

出羽三山はまさに祈りの山でした。太陽が昇り、月が沈み、また月が太陽の光によって満ち欠けを繰り返します。出羽三山に雨が降って、その水は湧き水となって川に流れ、木々やあらゆる生命を育みます。天から授けられた稲は、その水によって庄内平野でたわわに稔り、野菜や果物も立派に育ちます。山の水は海に辿り着き、海の森を生み、そこで豊かな魚介類は育ちます。そして海水は、太陽によって蒸発し、天に戻り、再び雨となって、お山に帰ります。

その天からいただいた水の循環、四季の循環は、人類が生まれるずっと前から続いています。それはあらゆる命の源となり、これから先も永遠に繰り返されてゆくのです。私たちは、そのおおいなる宇宙の摂理の中で、自然の一部として生かされています。

写真集『日月巡礼出羽三山』の発売を記念して、「ミラクル!祈りの眼差し 稲田美織出羽三山写真展」も開催。6月22日(土)~8月4日まで 致道博物館にて
夏には「稲田美織写真展 地球聖地」も予定されている。7月6日(土)~8月4日(日)まで 山形県ショウナイホテルスイデンテラスにて

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