22歳でドイツに移住して5年。4月にはドイツ人のパートナーと結婚したフリーライターの雨宮紫苑さん。一緒に暮らしながら「ドイツ人は家事も合理的にこなす」と言われている「理由」を実感している日々だ。じゃあ家事をさぼっているかといえば、どうやらそういうことではなさそうなのだ――。
ドイツの病院で出た衝撃の「夕食」
「ドイツ人って、家事も合理的にこなすんでしょ?」
ドイツで暮らしていると、たまにこんなことを言われる。たしかにそういう面はあるかもしれない。
まず食生活。温かい食事は1日1度が基本で、夜はパンにチーズを乗せて終わり、ということが多い。
驚くなかれ、これはわたしが入院した際に出された、病院の「夕食」である。ちなみに朝食もほとんど同じメニュー。このときほど日本が恋しくなったときはない(カップはスープではなくコーヒー用)。

病院食としてはがっかりもいいところだが、「家事」として考えれば、重い負担である料理が簡略化できる、ともいえる。
もうひとつは掃除。ドイツでは人を家に招くことが多く、しかも招くときは寝室を含め家のすべてを見せるのが一般的。だからいつ人が来てもいいように、家を常にキレイに保っている人が多い。
掃除が圧倒的に面倒な水回りに関しても、そこまで料理をしないこと、ユニットバスが前提であることから、日本ほど掃除に時間がかからない。
しかし、「じゃあドイツ人は日本人より明らかに家事時間が短いのか?」といわれると、どうやらそういうわけでもないようだ。
実はドイツの方が家事の時間が長い?
内閣府による「6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間」をみると、日本は妻が7.34時間で、夫は1.23時間(合計8.57時間)。ドイツはというと、妻が6.11時間で夫が3時間(合計9.11時間)。実は、ドイツのほうが(ちょっととはいえ)長いのだ。
いやいや、育児にたっぷり時間をかけているだけかもしれない。そう思って育児関連時間を抜いた家事時間を見てみると、日本は妻が3.89時間で、夫は0.74時間(合計4.63時間)。ドイツは、妻が3.93時間で、夫が2.41時間(合計6.34時間)。これまたドイツのほうが長い!
2012/2013のデータではあるが、ドイツのWSI(経済社会研究所)の統計もみてみよう、6歳から18歳の子どもをもつ夫婦で、妻が時短勤務、夫がフルタイム勤務だと、家事時間はそれぞれ4時間と2.07時間。上で紹介した内閣府の結果と似たような数字になる(ちなみにドイツは、女性の時短ワーク比率がかなり高い国)。
なにが言いたいかというと、「ドイツ人もふつうに家事をしている」のだ。