サニタリーボックスは「ゴミ箱」か?
先週末に開かれたG20大阪サミットでは、テロ対策の一環として、関西や関東の主要駅構内の女性用トイレから「サニタリーボックス」(使用済み生理用品を捨てる容器)が撤去され、利用者たちから「聞いていない」「困った」「対応が雑」といった不満の声が上った。
何が問題だったのか。今後のことも踏まえ、検証したい。
“サニタリーボックスの撤去”は、主要駅で一律に行われたわけではなく、鉄道会社によって対応が異なった。
例えば、関西では阪急電鉄は撤去したが、近畿日本鉄道やJR西日本は撤去しなかった。関東では都営地下鉄や西武鉄道は撤去したが、東京メトロやJR東日本は撤去しなかった。
国土交通省が主導する「鉄道におけるテロ対策」の一つに「ゴミ箱の集約・撤去」があるのだが、サニタリーボックスを「ゴミ箱」と見なすかどうかで対応が分かれたのだ。

「持ち帰れ」という乱暴な指示
テロ対策としての“ゴミ箱の撤去”については鉄道利用客も慣れている。周知も十分になされ、G20期間中は、「駅構内のゴミ箱の使用を停止しております。ゴミの持ち帰りにご理解とご協力をお願いいたします」というアナウンスがしつこいほど流れている駅もあった。また、ふだんゴミ箱が設置されている場所には、アナウンスと同様の内容の貼り紙が見られた。
しかし、「ゴミ箱」と聞いて(読んで)、トイレのサニタリーボックスを連想する女性はまずいないだろう。
サニタリーボックスが撤去されている駅では、女性用トイレ内や個室内にも「駅構内のゴミ箱の使用を停止しております」という貼り紙がされていたが、それがサニタリーボックスの撤去を説明しているとは、誰も思わなかったにちがいない。
トイレを利用し、使用済み生理用品を捨てようとして初めてサニタリーボックスが撤去されていることに気がついた女性たちは、どうしたのだろうか。
「ゴミの持ち帰りにご理解とご協力をお願いいたします」という指示にしたがって、経血で重くなった生理用品を持ち帰った女性もいただろう。
しかし、経血は感染症を媒介する危険性もあるため、「持ち帰れ」という指示は乱暴だと言わざるをえない。「持ち帰れ」と言うのであれば、持ち帰り用の小さなビニール袋を設置するなどの対応が必要だった。