早稲田大学で闇に葬られていた、教授の「ハラスメント疑惑」

昨年のセクハラ問題が記憶に新しいが…
現代ビジネス編集部

調査の手法は適切だったか

これだけ退学者が出て、院生から学部生まで被害が出ていれば、スポーツ科学学術院もパワハラの実態を把握していないはずがなかった。2014年には学術院の内部で、この教授のハラスメントについて調査も実施された。しかし、教授はお咎めなしで、パワハラは放置されたままだった。

それが去年になって、早稲田大学の本部も知るところになる。複数の告発が寄せられ、大学は「リスク管理およびコンプライアンス推進に関する規則」に基づいた調査委員会を開いて調べを進めた。編集部が入手した資料も提出されているほか、調査委員会で独自のヒアリングも行なっている。

 

調査報告書は去年9月に出た。責任者として記されている名前は、当時の副総長でリスク管理およびコンプライアンス推進統括責任者だった島田陽一氏。報告書には、パワハラの可能性があることがしっかりと記載されている。

〈ゼミの元学生にヒアリングを行ったところ、学部生・大学院生に対するパワーハラスメントの可能性が確認できた。引き続きハラスメント防止委員会において、別途検討を行うことにした〉

パワハラの被害にあった元院生らは、この報告書を読んで事態が一歩進んだ、と期待した。しかし、ハラスメント防止委員会に検討の場が移ってからは、何も進まなかった。

関係者の話を総合すると、このハラスメント防止委員会の調査手法にも問題があったようだ。

ある元院生は、委員会から再度ヒアリングを受けるよう求められたが、パワハラを受けたことを何度も話さなければならないことを懸念した。それでも話そうと大学の求めに応じようとしたが、指定された日は仕事で行けず、再度のヒアリングは受けていないという。

また他の院生は、大学からヒアリングを求められ、答えたかったが、遠方から大学に来る交通費が自腹になることや、ヒアリングが委員会が指定した平日にしか行われないため、対応できなかった。

しかも、調査の過程で、大学は被害を訴えている元院生らの名前を、教授本人にも伝える方針を示していた。いまも精神的苦痛を受け続けている元院生が、調査への協力に躊躇するのは当然のことだろう。

そもそも、「リスク管理およびコンプライアンス推進に関する規則」に基づいた調査委員会が、パワハラの可能性については確認できたと言っているのに、なぜ重複するヒアリングを行わなければならないのか。関係者は「たらい回しにされているだけではないか」と危惧した。

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